3月29日(土)、都内にて、開催を明日に控えた「Krush.172」後楽園ホール大会の前日計量と記者会見が行なわれた。
ダブルメインイベントの第2試合、すなわち今大会の大トリを務めるのは王者・璃明武vs挑戦者・池田幸司のKrushスーパー・バンタム級タイトルマッチだ。両者とも計量を無事にパスし、揃って記者会見に臨んだ。今回で3度目の防衛戦に臨むKrushスーパー・バンタム級王者の璃明武だが、2021年の10月よりベルトを保持しており、3年以上の長期政権を樹立している。防衛戦も今回で3度目となるが、「毎試合必死にやっているんで慣れてきたとかはないです」と気を引き締める。「明日に向けて、自分も今まで一番いい練習というか準備ができたと思っている」と準備万端を強調し、昨年の3.30「Krush.159」以来1年ぶりのKrushでの試合にも、「Krushにしっかり強くなって帰ってきたところを明日見せたいなと思います」と自信満々で語った。
今大会はKrushバンタム級のタイトルマッチもあり、ダブルメインイベントという形で組まれているが、その2試合には現役のKrushチャンピオン(璃明武、黒川瑛斗、大夢)が3人、元チャンピオン(池田)が1人と、チャンピオンクラスの選手が4人も揃う豪華なカードとなっている。その中でチャンピオンとして大トリを務める璃明武は、「自分と池田選手の試合はレベルが違うなっていうのをメインでしっかり見せたい」と「レベルの違い」という言葉にこだわる。目標はK-1チャンピオンになることと変わらず。その目標を実現させるためにも、「今年もドンドン試合をしていくつもりなので、まずは一戦しっかり勝ちたいなと思います」と、池田の挑戦を退けるつもりだ。
対する池田は2022年3月よりKrushバンタム級王者として君臨していたが、昨年7月に王座を返上し、スーパー・バンタム級に転向。早くも2階級制覇のチャンスを引き寄せた形だ。「自分は全ての時間を費やして、120%の自信を持ってリングに上がれますし、過去最強の状態を作れたので必ずベルトを巻きます」と璃明武同様、こちらも自信満々な池田。「もう一回Krush王者になって、K-1を盛り上げたいという気持ちが強い。今回一つ上の階級で挑戦者ということで、過去にやってきた試合以上のインパクトのある試合で、このベルトを巻きたいなと思います」と衝撃的な勝利での王座戴冠を目論む。「Krush2階級王者としてK-1を引っ張っていく選手になりたい」というのが池田の目標だ。今回のタイトルマッチをステップにし、K-1 GROUPの中心選手としてさらなる飛躍を遂げることを誓っていた。
ダブルメインイベントの第1試合は王者・黒川瑛斗vs挑戦者・大夢のKrushバンタム級タイトルマッチ。挑戦者の大夢は現Krushフライ級王者だ。昨年の10.25「Krush.166」で行なわれた第9代Krushバンタム級王座決定トーナメントを制した黒川は、初防衛戦で1階級下の現役Krush王者の挑戦を受けることになった。まず、「凄い毎日毎日楽しかったなというのが今の率直な感想というか、本当に楽しい追込期間を過ごせたなというのがあるので、あとはこの感情のまま明日も試合を楽しんで試合をやろうかなと思っています」と、充実した調整期間を過ごせたという黒川。「初防衛戦は緊張する」とジムの先輩たちからも言われたそうだが、黒川本人は「そんなこともなくて、格闘技なんでどっちかが勝って、どっちかが負けるんで、ベルトを獲られることもあるだろうなというぐらいの考え方でやっているんで、そこで守りに入っても面白くないかなと。俺は俺の試合をして、あとは結果がどうなるかは明日の俺にしかわからないと思うし、そこも楽しめたかなというふうに思いますね」と、初防衛戦が現役Krush王者対決というシチュエーションにも気負いはない。
あくまで今回はバンタム級のタイトルマッチ。「バンタム級は僕の階級だし、これは僕のベルトだよというのをわかりやすく体現できるような試合にしたいなと思います。初防衛戦でいろいろな目で見られると思うし、相手は下の階級の選手だという声もいろいろ聞くんですけど、終わってみたら呆気ないよというふうな試合をしようと思っている」と、周囲の雑音を試合内容で封じてみせる意気込みのようだ。
一方、昨年の1.28「Krush.157」で悠斗を破ってKrushフライ級王者になった大夢だが、その後、今年の1.26「Krush.170」で組まれていた長野翔との初防衛戦が長野の病気により流れたりと紆余曲折を経ての、今回のバンタム級王座挑戦。今回は挑戦者となるが、「何度も挑戦してやっと獲れたベルトなんで、フライ級のチャンピオンとしてフライ級の代表として、そういう熱い想いを持って持ってきました」と、Krushフライ級のベルトを持参して会見に出席だ。今回の試合に勝てば、Krushのフライ級とバンタム級の2階級同時制覇という偉業を達成することになる。「それを成し遂げることによってチームへの恩返しやったり、自分たちが今までやってきたことが間違いじゃないんやなっていうのを証明できるかなと思います」と、今回のタイトルマッチに懸ける意気込みは強い。フライ級よりも2kg上のバンタム級ということで、減量を含めた調整も「いい感じで仕上がりました」と順調に進んだ様子。「ここはKrushのリングで、僕もKrushのチャンピオンとして、昔からあるKrushの熱い試合やったり、Krushらしい倒す試合を見せられたらなと思っています」と、階級を上げての挑戦とはいえ、Krush王者としてやるべきことは変わらないといった様子だった。
また、この両者がタイトルマッチ後に狙うのは黒田斗真が返上し、空位となっているK-1バンタム級王座。その黒田とSNSでやり合った黒川は、「チャンピオンがいなかったりとかチャンピオンがあんまり試合しない、存在が明確じゃないっていうK-1があるっていうのは僕的には違うんじゃないかなっていう」と気持ちを吐露。「絶対王者がいてこそのK-1だしって、僕はそういうふうに見てきたので、僕が今年中にK-1チャンピオンになって、そういうK-1を引っ張っていけるような一員になっていきたいなと思っていますね」と、K-1王者に狙いを定めていることを告白した。大夢もK-1にはフライ級がないという現状もあり、空位となっているバンタム級に照準を合わせている様子。「そこでしっかり世界に食いつける選手になっていきたいです」と、次の目標もしっかりと定めた上で、黒川とのタイトルマッチに挑む。
ダブルメインイベント前の第7試合は、Krushスーパー・ライト級のワンマッチ、瑠久vs蓮實光だ。K-1 GROUPのリングではここ2戦して連敗中の瑠久だが、自身のジムであるRAUSU GYMを立ち上げた。そのRAUSU GYM所属選手で1発目の試合が、自分と蓮實との試合ということで、「しっかりぶちかましていいスタートを切りたいと思います」と気合いが入っている。ジムを立ち上げたことにより、「所属選手だけじゃなくて、他のジムからもいろいろ元チャンピオンの方だったり、そういういろんな選手が来てくれてて、凄くいい環境の中で練習できて、準備することができたんで、過去最高の自分が出せるかなと思います」と、試合前の調整も上手くいった様子。前回の試合ではパートナーの龍斗が同じ日に試合だったため、全て自分で考えて戦っていたという。だが今回は、「パートナーと一緒にこの試合に向けてしっかり戦略とか、今回は凄い準備してきました」とし、信頼する龍斗がしっかりとセコンドに就くことも、「全然違うんじゃないかなと思います」と自信の源になっているようだ。「自分で言うのもあれなんですけど、実力はめちゃめちゃトップ戦線だと思っていて、それをしっかり試合に出すことかなと。自分の可能性を見てほしいですね」と、ジム立ち上げの成果を出すことを断言した瑠久。最後にK-1 GROUPを辞めてからYouTubeなどで暴露をする人間に対して、「夢を崩すようなことを言うな。みんな仕事をすりゃ会社に文句の一つや二つあるのは当たり前だし、それをわざわざ抜けてから、文句があるなら所属しているうちに言えよっていう話だし、そういうのを本当にやめてほしいなって思います」と警告を放っていた。
一方の蓮實は熱いファイトが信条のベテランだが、K-1 GROUPのリングでは2020年12月より白星から遠ざかっている状態。だが、「明日の試合はとても楽しみだし、相手もいい選手なんでしっかりKrushらしくKOで倒したいと思います」と、意気込みは十分だ。アグレッシブな瑠久に対して、「打ち負けないように今回実戦と言いますか、スパーを中心に練習してきました」と蓮實。「瑠久選手の言うようにトップ戦線の選手なので、しっかり敬意を持って倒しにいきたいと思います。明日は蓮實光の復活劇を期待してください」と、この瑠久戦をKO勝利で飾っての復活劇を予告していた。
また、今大会の第1試合に組まれていた原田翔貴vs上野奏貴だが、本日の午前1時頃に原田の所属先である拳心會館より宮田充プロデューサーの元に、原田が減量中に体調不良を訴えたため病院に行ったところ、診断の結果、ドクターストップがかかったという連絡が入ったという。そのため原田は欠場となり、計量には参加せず。対戦相手の上野は計量をクリアしていたため、上野の不戦勝となることが発表された。
そして、試合がなくなった上野だが、北海道からこの試合のために上京。この試合のためにやはりK-1 GROUPで活躍する兄の空大がセコンドとして帯同しているが、第3試合終わりでこの空大と兄弟での2分1Rのエキシビションマッチを行なうことになった。