1月29日(月)都内にて、2024年3月30日(土)東京・後楽園ホール「Krush.159」のカード発表記者会見が行われた。
この日発表されたのは、2階級の王座に絡む試合3カード。スーパー・バンタム級では王者・璃明武の2度目の防衛戦が行われ、岩尾力が挑戦する。岩尾は再起不能かと言われた交通事故から懸命のリハビリを経て復帰を果たし、3連続1RKO勝利。昨年12月の内田晶戦ではKOこそ逃したものの圧勝し、永坂吏羅戦以来の試合となる璃明武とリング上で対峙し、対戦が決定。いよいよ実現を迎えた。
岩尾は「やっとタイトルマッチが来たので、ワクワクしてます。絶対ベルト獲りに行こうと思ってるんで、皆さん楽しみにしてください」、璃明武は「岩尾選手とやるというのは、岩尾選手が出てきた時から思ってたんで。Krushのこの階級で、岩尾選手以外に自分の相手はいないと思っているので、タイトルマッチではあるんですけど、岩尾選手との試合がすごく楽しみです」と意気込みを語った。
対戦相手の印象は「僕の中での印象は、この前の永坂戦での背中を向けて逃げる姿しかないので、僕と戦う時はしっかり向き合ってもらいたいなと思ってます。12月は僕も力み過ぎちゃったんで、倒しに行こうかなと思います」(岩尾)、「パンチが強くて、この前は判定でしたけど、それまではボディでのKOが続いてますよね。この階級ではダントツのパワーで、すごく強い選手だと思います。『背中を見せて逃げる』みたいに言われたんですけど、試合を見てたのかな?と思って。それまでの流れがあってのことだったので、逆に完封して、最後背中を見せてダッシュしてもいいのかなと思ってます」と、互いにやや挑発的なコメント。
璃明武がリングに上がるのは昨年7月以来。その前は一昨年6月の『THE MATCH 2022』と試合間隔が空いているが、岩尾はその間に快進撃を果たしてきた。璃明武はそれについて「岩尾選手は自分よりも前にデビューしていて名前は知ってたんですけど、やるとは思ってなくて。交通事故から復帰されて、一発目の試合を見て『あ、強いな』と思いました。この階級で他に強い選手はいないので、やることになるのかなと。そこから連勝していたので、やる流れなのかなと思いました」と話す。
岩尾にとっては満を持してのタイトルマッチだが、「僕も事故をして、その後もいろいろあってすごく遠回りして。事故の前もタイトルマッチを他団体で2回逃していて、今回は久しぶりにベルトが懸かった試合ですが、ベルトが懸かってなくても単純に人として璃明武選手を倒したくて、それにベルトがついてきてるだけなので、とりあえず勝ちにいこうかなと思ってます」という。また1月大会で同門の池内紀子がベルトを獲ったばかり。「ノリが今年一発目でタイトルマッチが決まってたので、『絶対ベルト獲ってつなぎます』と言ってくれて、いい形でバトンタッチしてくれたので。応援に行ってたんですけど、ジムに今ベルトがなくて、今年一発目でベルトを持って帰ってきてくれたので、僕もしっかり次につなげようかなと思います」と語った。
さらに璃明武との対戦については、「魅力は別にないんですけど、僕も負ける気はしないんで。チャンピオンである璃明武選手が一番戦うのにふさわしいと思いますし、倒して勝つというのが一番面白いんじゃないかなと思ってます」とのこと。その上で「12月は反省点もありますけど、復帰して久々に3Rやったので。僕もあの試合は倒しにいくつもりはなくて、倒せるタイミングがあれば倒そうという感じで、タイトルマッチ前に3Rやって得たものは凄く多かったので、次の試合にすごくつながるものを得て、僕の中ではめちゃめちゃプラスですね」とコメントした。
その12月の試合をリングサイドで見ていた璃明武は「その試合ではボディブローはクリーンヒットはしなかったですけど、音とかもすごいし、パンチ力はこの階級で一番あると思うし警戒もしてるんですけど、これまでボディで倒された選手とは自分はレベルが違うので、そんなに簡単にはいかないと思います。まあでも警戒はしてるし、すごく強い選手だと思います」と印象を述べた。また、初防衛戦の永坂に続いて、挑戦者から挑発されることについては「前回けっこう言われたので、今回は言われないかなと思ってたんですけど(笑)。でも自分は交通事故から復帰して活躍するのも普通の人にはできないすごいことだと思ってリスペクトしていて、まあでも試合になったら全然レベルが違うよというところを見せたいと思います」と自信を覗かせた。
「Krushのタイトルマッチにふさわしい試合とは?」との問いには、「やっぱりKOって見てて面白いし、したくてもできるものじゃないと思うんですけど、KOで終わらせるのが一番いいのかなと思って。今回はKOする練習をしていて、自然になると思うので、楽しみにしてください」(岩尾)、「この試合はレベルにおいても期待値においても今のKrushで一番いいカードだと思うので、それにふさわしい試合内容でしっかり勝って、このベルトの価値をさらに高めたいなと思ってます」と答えた。
最後に「6~7年ぶり、Krushでは初のタイトルマッチということですごくワクワクしています。僕がベルトを巻く方がストーリー性がありますし、これからこのベルトを巻いていろんなところに行くのは、僕の方が華があると思うので、何が何でもこのベルトを巻いて、華は僕に任せてもらえたらと思うので、応援よろしくお願いします」(岩尾)、「何かいろいろ言ってるんですけど、試合で何もさせないで圧倒してしっかり『Krushのこの階級は璃明武なんだぞ』というのを内容で見せたいと思います。あと満員の会場で、盛り上がる試合を見せたいです」と、それぞれファンへのメッセージを寄せた。岩尾の破壊力か、璃明武のテクニックか。波乱含みのタイトルマッチの行方は……?
もう一つ発表されたのが、初代Krushミドル級王座決定トーナメントだ。4選手がエントリーし、今大会で準決勝2試合、[谷川聖哉vsブハリ亜輝留][神保克哉vsYOHAN]が行われる。谷川はこれまでクルーザー級で戦ってきたが、今回大幅に減量してミドル級への参戦となる。決勝戦は6月23日(日)、同所での「Krush.162」で行われる予定となっている。
まず4選手は意気込みをコメント。「対戦相手の神保選手に7年前、20歳の頃にボディでKOされてまして、その時から絶対やり返すと心に決めて、ここまで来ました。当時、イケイケだった頃の自分との約束を守って、昔の気合いを思い出して勝ちにいきたいと思います」(YOHAN)「前の試合からだいぶ離れちゃったんですけど、この階級は俺が作ったというか、俺が作ったベルトを獲らないのはおかしいなと思って戻ってきました」(神保)「この2年ぐらい4連勝してて国内での実力は見せてきたので、神保選手と王座決定戦を希望してたんですけど、集まってきた2人もなかなか面白そうなので、このトーナメント、楽しみです。2試合とも倒して優勝します」(ブハリ)「階級を変えたのは12月の大阪でリュウ・ツァー選手に負けて1ヵ月ずっと悩んでたんですけど、自分のプライドを取るか、K-1、Krushのベルトをしっかり取るかという風に考えた時に、ベルトが死に物狂いで欲しいと思ったので、階級を変えることにしました。『死に物狂い』を日本で一番体現している先輩が一番近くにいるので、そういう意味で『体を見たら分かるぞ』と渡辺雅和さんにキツく話をしてもらって、トーナメントはちょっと急かなとは思ったんですけど、ここでしっかりKrushのベルトを獲って自分が引っ張っていきたいと思います」(谷川)
対戦相手の印象は、「普通に強い」(YOHAN)「印象というか、俺とYOHANはチング(韓国語で『友達』の意)ですね」(神保)「ずっとクルーザー級や無差別級で戦っているのをずっと見てたので、日本人選手で体の大きい選手と戦ってきた実績はリスペクトしてるんですけど、実際同じ体重だったら、重い階級だったというのは僕的には関係ないので、元クルーザー級の選手が僕に対してどれだけパワーがあるのかなというのを見るのが楽しみです」(ブハリ)「控室で見た時に『クルーザー級の選手かな』と思ったぐらい大きかったです」(谷川)
決勝で対戦したい相手は「ブハリ選手とは何回か練習した仲でもあるので、谷川選手と」(YOHAN)「谷川聖哉です」(神保)「一回負けている神保選手。プロ2敗の中でもう一つの負け(ジュリオ・セザール・モリ)はリベンジしているので、リベンジはベルトと同じぐらい大事なので」(ブハリ)「人生初めての減量なので、自分との戦いです」(谷川)と回答。
4人の中で「ここは一番自信がある」という点は、「4人の中で実力は一番劣っていると思ってますが、そこに勝機があると思ってます」(YOHAN)「気合いっすね」(神保)「パワー、フィジカル、体の耐久力。外国人を含めても負けてない自信があります」(ブハリ)「覚悟とスピード、パワー、全部ですね」(谷川)と、それぞれ回答した。
谷川は今回クルーザー級から落としての参戦だが、「以前は97~98kgぐらいでしたが、今は85kgぐらいです。ちゃんと減量の専門家もつけてもらってますし、クルーザー級でやってた頃はヘビー級も見据えて無理に食べてたというのもありますし、今はメチャメチャ体が軽くて、何するにもいきやすくなりました。スタミナもありますし」と言う。75kgというと中3以来とのことで、「今の体重も高1か高2以来。高1の時から大人の無差別の大会に出てたので、本当に久々ですね。ただトレーナーと話してる分にはパワーは落ちてないし、スタミナも大丈夫です。重量級の一発よりも、相手選手も手数なども増えてくると思いますけど、そこはKRESTで相手もたくさんいるので。あとは水抜きとか減量がちょっと怖いかなというのがあります」とのこと。
神保は昨年6月、K-1ミドル級王座決定トーナメント以来の試合。「モチベーションが上がらなかったんですよ。ずっとK-1のベルトを狙ってたわけで、階級を創設してベルトも作ってもらったのに、結果を出せなかったじゃないですか。たぶん、負けることにビビってたんだと思います。今はただ単に勝ちたいっすね。まず勝ちたいと思って、格闘技やめるとかもできないんで、戻ってきました」と、再起の理由を語った。神保はこの会見に特攻服で参加しており、それはブレない気持ちを表現したという。
神保はYOHANのことを「チング」と表現したが、それについて尋ねられたヨハンは「チングとして、この特攻服を脱がしたいですね」と語ると、神保は「(脱がされたら)恥ずかしいっすね」とコメントし、笑いを誘った。
12月の大阪大会で、松倉信太郎が初代王者ハッサン・トイからベルトを奪ったことについて、神保は「単純に、ハッサン・トイからベルトを奪ってくれてありがとうと。今日はそれしか言えないっすね」と語った。
最後にファンへのメッセージとして、4選手がそれぞれ以下の通りコメント。「絶対優勝します。以上」(YOHAN)「チャンピオンになって、今のK-1チャンピオン、待っとけよ」(神保)「上の階級から落としてきた選手と僕のパワー対決というか、すごいインパクトのある試合になると思うんですけど、それを制して僕が勝つので、楽しみに見てください」(ブハリ)「階級を変えて、空手家としては重量級では戦えないので、K-1ファイターの谷川聖哉として生まれ変わったところを見せます」(谷川)
最後に谷川は「僕には『疾風の空手家』というキャッチフレーズがついてましたが、もう僕は空手家ではないので、新しい何かカッコいいのをお願いします」と宮田プロデューサーにお願い。さらに「本当に3月は覚悟を見てもらいたいと思います」と締めた。それぞれに個性的な4人が揃ったトーナメント、まず勝って決勝に駒を進めるのは?