朝久泰央、稲垣柊に痛恨の一撃「30%の力で倒せる相手」=11.15K-1MAX代々木第一
朝久は、21年7月にゴンナパー・ウィラサクレックから延長判定で勝利し、第5代K-1ライト級王者に。22年2月はスーパーファイトで与座優貴と対戦し、延長で敗北。怪我で長期欠場を余儀なくされたが、23年3月に約1年ぶりに復帰し初防衛戦で与座とのリベンジマッチに臨むも判定負け。24年12月はRIZIN大晦日大会でYURAから勝利。25年5月は再びRIZINに参戦し、ウザ強ヨシヤをTKOで下した。7月はK-1でダニラ・クワチから勝利し、スーパー・ライト級へ階級を上げた初戦を制した。
稲垣は、第9代Krushスーパー・ライト級王座奪取後、24年4月に元K-1ライト級王者の林健太を破り、11連勝。24年9月の第7代K-1 WORLD GPスーパー・ライト級王座決定トーナメントでは、一回戦でレニー・ブラジをKO。準決勝ではトーマス・アギーレを撃破。決勝はヨードクンポン・ウィラサクレックに敗北。25年2月に佐々木大蔵を破ると、5月に体重超過のヨードクンポン・ウィラサクレックと対戦してKO負けとなった。
「本当に真面目だなという印象ですね。良くも悪くもしっかり自分の形があるっていう感じですかね」
――会見で「敵と見ている」みたいな発言があったと思うんですけど、どう感じました?
「自分も試合が決まってから敵と見ているんですけど、それまでは互いに試合が決まったら会った時に『頑張ってね』みたいな会話はありました。だから、自分としては前日計量で『明日は思い切りやろう』くらいの感じで来ると思っていました」
――それが違ったと。
「海外の選手は、『お互いに思い切りやろう』みたいな感じが多い中で、彼の会見の姿を見て、まだ世界レベルに達していないのではないのかなと思いました」
――おそらく、稲垣選手は戦いのスイッチを入れに来たのだと思います。会見でこの試合は「殺すつもりで戦う」とも語っていました。
「なんか怖いこと言うようになったなと思いますよね。でも、そうやって殺すつもりでって言われた以上は、自分は“つもり”ではなく“行く”という感じなんで。そういった意味で言うと、まあ、向こうが来るよりも先に殺してやろうとは思ってますけどね」
――年間ベストバウトの予感あると稲垣選手は言ってました。朝久選手も同じように感じているのでしょうか。
「そうですね。多分、彼が考えてるのはその激闘的な意味でのベストバウトって言ってるかもしれないけど、自分の考えてるベストバウトは、派手に自分がボコボコにしてのベストバウトなんで。彼の見せ場としてのベストバウトではないですね」
――一方的にボコボコにすると。
「正直に言うと、向こうには自分の型がある。その型にはめながら、自分の穴を探して攻めてくると思います。ストレートとか飛びヒザとか、奥足を蹴って来るとか。まあ彼が考えそうなことですね」
――テクニカルな攻防が予想できると。
「自分は、本当にどの技でも倒せる自信があります。ローを蹴っていけば効かせることはできるし、腹は自分の攻撃が当たったやつは全員悶絶して倒れてるんで。顔だったら意識を飛ばせることができる。どこに当たっても倒せる技がある。相手の型にはめさせないようにして、自分の技を当てて倒します」
「難攻不落というのは、その城を攻め落としたやつがいないということじゃないですか。でも、攻めていた兵隊が弱すぎるんじゃないのかなというのは思いますけどね。自分は別に、その難攻不落っていうイメージは彼には全然なくて。詰め将棋をしてるっていうか、簡単に王手で詰められているのは、兵隊が弱すぎると思っています」
――なるほど。
「あと自分は、詰め将棋という言葉嫌いです。ハッキリ言って、お客さんに見えない攻防も自分はできます。ジャブとか、カーフとかで崩して行くという。自分はカーフをずっと蹴っていけば、相手の足を効かせてもっと楽に戦うことができます。でも、そんな戦いをしたところで素人の人には伝わりにくい。難攻不落とか、詰め将棋とか、そんな相手に負けるわけにはいかないです」
――朝久空手は、倒すために存在していると。
「倒して勝って、ボコボコにすることです」
――倒すだけではないんですね。
「攻略するとか打破するとか、殻を破りたいとか、そうした次元でうちらは戦っていないんで。あと彼が攻略するとか打破するとか言ったところで、何とも思わないです。おそらく9月のクワチ戦を見たり、負けた試合の映像を見て研究するんだろうけど、クワチ戦は30%くらいの状態だったし、負けた時は拳が砕けていた。怪我をした自分が悪いのは重々承知の上ですけど、そんな試合を見ても参考にならないですよ。逆に、どんな自信をつけているのか聞きたいくらいですね」
――今回は100%の朝久泰央が出せると。
「9月の時の自分は、直前の怪我もあって状態としては30%くらいだったと思います。その30%だったものを100%まで魂から引き上げました。今回も30%の力で倒せる相手ではあると思いますが、本当に100%で殺しに行こうと思っています」
――前王者のヨードクンポン選手が他団体で試合すると宣言して、朝久選手は前回の会見で批判していました。今、彼に思うことはありますか?
「いえ、もう別に何もないですね。あっち側に行っちゃった人間なので。まあ頑張ってねっていうか、ほんとグッドラックっていう感じです。まあ海外の選手なので、とくに何も思わないです」
――朝久節が出ると盛り上がるので、言いたいことがあるのかなと。
「また、そう言って煽るから(笑)。でも、自分は義理人情で生きているので、出ていった日本人選手に対しては合わないだけです。K-1の名前を使ったり、スポンサーとか、いろいろな人に迷惑をかけているのは事実なんで。海外の選手は、また違う気持ちで試合をしている人も多いと思いますので、そこまでも恨みはないです。グッドラックだけです」
――前回の試合から65kgへ階級をあげました。適正についてはどう思っていますか?
「自分は、全然62.5kgでも戦えるし、67.5kgでも問題ないです。ただ的がでかいやつを倒すって楽しみがあるから戦っているだけなので。どこが適正とか、そうじゃないとか、そういう考え方をするのは苦手ですね」
――ネット上では、他団体も含めて誰が65kgで最強なのかという議論が起こっています。
「シンプルに格闘技って、強くなっていったらいずれ戦うものだと思っています。だから、名前が出てくる選手と戦いたいなとは思いますけど、前回対戦したクワチ選手は過去の映像とはいえミゲール・トリンダーデ選手をKOしていたんで。もしもミゲール選手と試合が組まれたら、その時に倒すよっていう気持ちはあります」
――世界の強豪にも臆していないと。
「なんか、みんな対世界っていうだけでビビりすぎだと思うんですよね。向こうからしたら、自分たちも対世界なので。そこで勝てばいいだけですから」
――今回、朝久選手が勝てば2階級制覇になります。
「同じ階級の四天王とかに入るよりも、2階級制覇になると特別感が出るので魅力的だなと思います」
――何階級まで制覇したいですか?
「そこは、取れるだけ取りたいと思ってます。あとはK-1をもっと世に広めるためであれば、世界で戦いたいとも考えています」
――今回11月15日に試合がありますが、RIZIN大晦日にも出場してほしいというファンの声も出てきそうです。
「今回の試合が決まってからは、大晦日っていうのは特に考えてなくて。でも、今回はもちろん勝つ前提なので、大晦日にK-1から出てくれという話であれば出る可能性もあるかもしれません。(平本)蓮君とも連絡を取る仲なので、また一緒に戦いたい仲間たちです」