谷川聖哉、ムシンスキ戦で人生逆転へ「勝てば全部ひっくり返るのが格闘技の醍醐味」=「K-1 REVENGE」5.31(日)後楽園ホール
――ヘビー級で戦っていた谷川選手が、前回は80kgまで落としての試合でした。試合をしてみていかがでしたか?
「体のキレや動きを振り返ると、80kgがやっぱりベストかなと思いましたね。めちゃくちゃハマった感じはありました。めちゃくちゃ調子良かったです」
――減量は何kgくらいだったのでしょうか。
「トータルで見たら20kgです。体重は100kgくらいあったので」
――20kg!そんなに減量したんですね。
「でも90kgまでは食生活を調整すれば落ちるので、実際の減量幅は10kgくらいですよ」
――試合の1週間前は何kgだったのでしょうか。
「85kgですかね。意外とビビりなんで、あんまり水抜きやりたくないんです」
――そうなると戻し幅は少なくなりますね。
「失敗したら終わりなんで。できるだけ水抜きはやりたくないです」
――ただ、今回は75kgとさらに5kg落としての挑戦になります。以前も75kgに挑戦して動けなかったのか、もう落とさないと明かしていましたよね。
「まあ、やっぱりチャンスをもらったっていうのもありますし。実は前回75kgまで落とした時は、半年かけて肉体改造に取り組むはずだったのが3ヵ月に短くなってしまって。単純に体重を落とすことはできるけど、身体を作り直す時間がなかったんです」
――そうだったんですか。では、以前に75kgで試合をした時は、フラフラな状態だったんですか?
「動き的には問題ないのかなと思っていたんですけど、水抜きしてみてフラフラしたというか。身体に力が入らなかったですね。すごく浮いてる感じがあって、力が全く入らなかったです」
――なるほど。今回はその時のリベンジというか、じっくり時間をかけて身体を作ってきたと。
「はい。80kgで試合をした後は、ずっと85、86kgをキープしています」
――今回のムシンスキー戦のオファーが来た時は、どう思ったのでしょうか。
「とんでもないやつを当ててくれるなというのと同時に、この階級で海外の選手と試合ができる日本人がいないと思いましたので、これはやらないといけないというかビッグチャンスかなと。K-1がさらに大きくなるためには、海外強豪と戦える日本人の対抗馬が必要だと思っています。だから僕がやるしかない、やると決めました」
――外国人が中心になってきている現在のK-1の中で、頼もしい発言ですね。試合が決まってからは、どんな反響がありますか?
「SNSで散々言われましたね(苦笑)。いやー、タイミングが悪くエイプリルフールに僕のカードが発表されたので、嘘だろ、冗談だろうみたいなことをめっちゃ言われたんですよね…」
――なるほど。エイプリルフールだから偽の情報を発信したと思われたと。
「その意味でも、今までの試合前の反響の中で一番あったかもしれないですね。Xの引用でアンチコメントばかりあって(笑)」
――それは酷い。
「でも、以前も話したかもしれませんが、意外とみんな見てくれているんだなっていうのは思いました。だったら、SNSをもっとフォローしてくれよとは思いますけど…。でも、自分の人気のなさも同時に痛感しましたね。期待されていないんだなーと」
「それは、自分が蒔いた種というか、今まで積み上げてきて外国人に勝てていないことが背景にあるのは分かっています。なかなか報われないなって思いますけど」
――ただ一方で、試合で全部ひっくり返せる可能性があるということですね。
「その通りです。だから絶対に負けられないです」
――ちなみに奥さんは、何て言っていましたか。
「ムシンスキ選手のことをよく分かっていないんだろうけど、強いんでしょう?みたいな感じでした。いつもK-1の舞台に弱いやつは出てこないと言ってるんですけど、反響が大きいので何かを感じているようです。以前、山口翔大君との試合後に“相撲”と揶揄された時よりも反響が大きいですね。日本人だから応援してくれるだろうと思っていたんですけど、なかなか現実は厳しいですよ」
――ムシンスキ選手は、日本でも人気がありますからね。
「彼は確かにかっこいいし、ファイトスタイルも面白いですもんね。それは分かります」
――ちなみに、ムシンスキ選手の評価は。
「もちろん、めちゃくちゃ強いと思っています。クリーンファイトのイメージもあり、いい意味でのワイルドさも感じます。正々堂々と戦ってる印象です」
――ムシンスキ選手の前回のデング・シルバ戦は、どう思いましたか?
「会場で見ていたんですけど、圧力で勝ったなと思ったら大逆転負けになって驚きました。その時は、まさか試合をするとは思っていなかったので楽しんでみていました」
――K-1は90kgか75kgの階級にチャンピオンがいますが、80kgはないんですよね。ちなみに90kgはティアン・ターザン選手、75kgはデング・シルバ選手がチャンピオン。90kgはサッタリ選手を倒した、ルーカス・アハテルバーグという怪物もいます。
「サッタリ選手が負けた姿を見てショックでした。僕はサッタリ選手に3回も負けているんで、もはや戦友だと思っているんですよね。で、今、実は一緒に練習をしているんです」
――あ、そうなんですか。
「多分、今日本で一番僕のことをわかっているのがサッタリ選手で、ずっとスパーリングしています。僕にとってのサッタリ選手はトラウマと思える存在で、彼がいなければK-1もKrushもタイトルを獲っているはずなんです。いつも目の前に立ちはだかってくるので、苦手意識もありました。でも、自分が75kgで試合をしていくことになれば戦うことはないと思うので、今は一緒にやらせてもらっています」
――ムシンスキ選手とは、どんな試合になりそうですか?
「僕が、どれだけ自分のやりたいことをやれるかということに尽きると思います。みんなに指摘されるのは、自分に自信がないんじゃないかということ。最近は、それをすごく自分でも感じるようになってきて。迷いがあるから、実力を出し切れていないんだろうなと」
――弱い自分が試合に出てしまっていると。
「そうだと思います。それを考えると、ムシンスキ選手はどんどん前へ出てくるファイターなので、相性的には最悪なのかもしれません。それを乗り越えることが、今回の試合のテーマです」
――とても明確ですね。
「自分にとっては、最悪であり最高の相手です。ここで勝てば、誰にも文句を言わせずにデング・シルバ選手とタイトルマッチをやらせてもらえると思っています」
――ムシンスキ選手を倒して、次はシルバ選手のタイトル挑戦したいと。
「大事な試合前に先を見てはいけないですが、チャンピオンになるために階級を落としていますので、そこは目指したい」
――ちなみにシルバ選手は、どんなイメージですか。
「リュウ・ツァー選手は、『進撃の巨人』と呼ばれていますけど、シルバ選手はその小さいバージョンのイメージですね。小さいけど、とんでもなく強い」
――谷川選手がムシンスキ選手を破り、シルバ選手にも勝ってベルトを巻いたら、とんでもリベンジになりますね。
「勝てば全部ひっくり返るのが、格闘技の醍醐味。それをするために、僕は格闘技を続けています。おそらく僕が負ける姿を見たい人は多いかもしれませんが、ムシンスキファンがひっくり返るような試合をしますので、楽しみにしていてください」
<両選手の近況>
谷川は第3代Krushクルーザー級王者の肩書きを持つ日本人重量級トップファイターの一角で、長らくクルーザー級(-90kg)を主戦場としていた。26年1月にKrushクルーザー級王座を返上。同月開催の『Krush.184』では、80kgまで減量してジュリオ・セザール・モリと戦い、KO勝ちを収めた。今回はさらに5kg落としての75kgでの試合となる。
ムシンスキは、25年のK-1 WORLD MAX世界トーナメント一回戦(70kg)でオウヤン・フェンに僅差の判定負けを喫し、26年2月は階級をミドル級(75kg)へ上げてデング・シルバと対戦したもののボディブローでダウンを奪いながらも、逆転のKO負け。まさかの2連敗で、再起を狙う。