「K'FESTA.6」3.12(日)代々木<インタビュー>挑戦者・菅原美優「タイトルマッチ・リベンジのチャンスは何回も来るものじゃない。毎年名勝負が生まれる『K'FESTA』の舞台で、見ている人が感動する試合をして勝ちたい」
──前回の試合は昨年10月「Krush.142」でのチャン・リー選手とのKrush女子アトム級王座の防衛戦でした。パンチで合計4度のダウンを奪ってのKO勝利でしたが、あの試合を振り返っていただけますか?
「悔しい想いをした6月(初代K-1女子アトム級王座決定トーナメント決勝でパヤ―フォンに判定負け)から、ひたすら次に向けて練習していて、勝って気分良く年越せる状態にはなったという感じですね」
──パヤ―フォン戦後に取り組んだ練習の成果がしっかりと出た試合になったということですかね?
「そうですね。でも、6月に負けてから何かを変えたことは別にないんですよ。何が変わったかって言ったらメンタル状態ぐらいです。(練習内容は)今までやってきた練習をもう一回やって、基礎をしっかり見直したっていう感じで。パンチは引き続きずっと練習していたし、その成果が10月の試合でやっと結果として出せたなっていう感じです。もっと早くパンチをやっとけば6月の結果も変わったかなと思ったりもしましたけど、まあそれはタラレバなんで(苦笑)」
──自分でもパンチの技術が向上しているということは実感できていますか?
「やっとこの前の試合で実感できましたね。パンチを教えてくださる日体大の佐藤コーチだったり、練習に付き合ってくださってボクシングスパーをやってくださる選手だったりに、改めて感謝できたかなと思います。あんなに練習をやってもらっても、この競技は結果を出さないと意味がないし、無駄になっちゃうわけじゃないんですけど、凄く喜んでくれたので良かったなと思いましたね」
──そういう中で「K'FESTA」という最高の舞台でK-1王座への挑戦が決まりました。昨年のトーナメントでのリベンジ戦にもなるんですが、タイトルマッチのオファーが来た時はどんな心境だったんですか?
「10月の防衛戦もパヤーフォンちゃんへのリベンジのための大事な試合だと思っていたんで、いつK-1王座に挑戦するかは別にして、またリベンジできるように試合をしていかないといけないって、負けた時から思っていたんですよ。それでこの前の試合に勝って、中村プロデューサーやいろんな人と話をして、ワンステップじゃないけど経験を積むためにも外国人選手との試合を挟むっていう話をしていたんですね。だからそっちに頭を切り替えていたんですけど、急にタイトルマッチの話が来たので『あれ? 言ってたのと違うじゃん』って思いました(笑)。でも、この前の試合を認めてくれたのかなといい方向で考えて、プラス、チャンスって何回も来るわけじゃないし、『ここでチャンスをもらってダメでした。じゃあもう一回』っていうのはないと思っているんで、今はメンタル的に追い込まれた状況ではありますね」
──少しタイミング的に戸惑った部分があったわけですね。
「でも、やるかやらないかの話になったら、絶対にやるんですよ。やるしかないし、断る理由もないですから。6月の試合も僅差ではあったので、自分の努力次第かなと思っています」
──では、パヤーフォン選手なんですけど、一度戦ったことも踏まえて、どんな印象をお持ちになりました?
「私は対戦相手の想像を高く見積もるタイプなんですよ。実際に試合をやった時にビックリしないように。でも、その想像は超えてこなかったし、想定内の強さではありましたね。ただ、キャリアもありますし、フィジカルもありますし、ちょこちょことムエタイの技術を感じられる場所もあったんですよ。転がされたりとか、組んだ時の上手さとか。K-1では組みは禁止だけど使える技があるし、首相撲とか取り入れたいなと思ったので、そういう技術面では光るものがありましたね。強かったです」
──国際戦は初めてだったと思いますけど、日本人選手との違いは感じられましたか?
「めっちゃあったわけじゃないですね。まあタイは近めの国だし、タイ人は周りにもいるからビックリしたとかはなかったです。特有のものを感じたとかもなかったですね。でも、リズムだったりとか、本場のムエタイに触れた感はありました。どっちかって言うと、女子の選手はパンチでガチャガチャ突っ込んでくる選手が多いんで、全く別物だなと思いましたね。これがムエタイのリズムかっていうリズムで試合を作られる。そこは勉強になったというか、今までにない経験でしたね」
──会見ではお互いに「接戦だったので差をつけて勝ちたい」という主旨のコメントがありましたけど、改めてどんな勝利を考えていますか?
「タイトルマッチだし、絶対に倒したいって考えてますね。美容室のお客さんとも話をするんですけど、結構試合の感想を言ってくれたりするんです。やっぱり素人目にも分かるような試合をしないとって思っているし、分かりやすいって言ったらぶっ倒すことだと思うんですね。倍返しにするには1回ぐらいは倒さないと嫌だなって思っていますけど……勝ちにはこだわりたいです」
──前回の試合よりもパンチの成長度を考えると、倒せるという手応えはありますか?
「当たれば倒せるっていうのはありますけど、ああいうタイプは当てるまでが大変なんです。パヤーフォンちゃんは待ちの選手だし、結構ゆっくりなリズムでミドルを蹴って…みたいな選手ですからね。チャン・リー選手との試合もそうですけど、KOできるのは相手の力も加わってのパターンも多いんで、パヤ―フォンちゃんは倒しづらいっていうのはありますね。自信がなくはないんですけど、倒し方を考えないといけないな、頭を使わないといけないなって思っていますね」
──リベンジを期待するファンも多いと思いますが、改めてどんな試合を見せたいですか?
「感動する試合を見せたいです。『K'FESTA』って毎年名勝負が生まれる1年に1回の大きな大会なんで、発表されているカードも凄い豪華でしたけど、あのレベルのカードがバーッと並ぶ大会なのでそこに引けを取らないというか、一番小さい女子だけど、そこを超えていけるような試合をしたいなと思っていますね」
──去年は女子だけの大会も開催されましたけど、改めてこういう大舞台でK-1女子の魅力をアピールしたいと考えていますか?
「いい意味で捉えてほしいんですけど、女子大会は男子の中でやると埋もれちゃう試合も、女子の中でやると見え方が変わったりとか、そういうのもあったと思うんですよ。でも、毎年女子大会が開かれるわけでもないし、やっぱり主戦場は男子の中に混じってやるというか。男子女子の差別もないと思っていますけど、その中で男子の中でも引けを取らない試合をしていくことが、多分女子格闘技の確立になるんじゃないかなと思っているんで、本当の勝負はここだと思っています。メイン級のカードが並ぶ中で、負けない試合ができるかどうか。それは相手選手と、パヤーフォンちゃんと一緒に頑張らなきゃいけないところかなと思っていますね」