ライト級の激アツ対決に里見柚己が提案「西京佑馬選手に勝った後、朝久裕貴選手とやって王者を決めてもいい」=9.7K-1代々木第二
西京は、第3代Krushフェザー級王者の西京春馬を兄に持ち、アマチュア時代から活躍。19年3月に島野浩太朗に勝利して、第8代Krushスーパー・フェザー級王者となった。ライト級へ転向後は、22年8月に里見柚己と戦い敗北し2年間の試合から遠ざかることに。復帰後、25年2月に開催されたKrushライト級GP 2025で弘輝、昇也、古宮晴を破り頂点に立った。
「はい。まだ始めたばかりなので、そこまで登録数が多くはないんですけど、K-1を盛り上げたいという思いもありスタートしました」
――里見選手は、K-1を盛り上げたいという思いが人一倍強いですよね。
「強いですね。ただ、今は方向性に迷いがある印象を受けているんですよね。MMAをやろうとしていたり、海外への意識が強くなっていたり。重量級や70kgに重きを置くようになっている感じもあって。自分たちのような下の階級はすごく面白いと思うんですけど、そこが少し弱くなっているように感じています。でも、それは悔しいので自分が勝ち進んでいって、実力で面白さを証明していきたいと思っています」
――K-1は、俺たちの階級が中心だと。
「やっぱりK-1は日本人が中心にならないといけないので。この階級で自分は海外の選手を倒してきているので、日本の選手にもっと光を当ててもいいんじゃないかなと思っています」
――K-1は、重量級も中・軽量級も充実し、日本人も海外スターもいるという幅がある方が、さらに全体に厚みが出ると思います。
「たしかに、その通りなんですけど、自分たちの階級が一番面白いと思っています。最近のヘビー級の試合でカーフキックばかり蹴っていく姿を見ると、何をやりたいんだろうと思うこともありますし……」
――K-1の醍醐味が消えていると。
「そうです。それでいったらライト級の方が面白いですよ。倒しにいく選手もいるし、ハイレベルな内容を見てもらえば分かるように、めちゃくちゃ楽しめると思います」
――たしかにライト級は層も厚いし、タレントも揃っていて激アツの試合が多い。その中で、今回の西京戦は盛り上がること必至の対決になりました。
「西京選手とは一度戦っていて、そんなに差がなく自分が勝ちました。でも、西京選手はトップ選手なので、必ずまた当たる時が来ると思っていました。このタイミングで当たることになってビックリはしましたけど、でもここで勝ってしまえばもう戦うこともないでしょうし、K-1チャンピオンに近づくことができる」
――西京選手の実力は認めているわけですか。
「認めています。実力は間違いなく日本人のトップクラスです。世界でもトップクラスにいると思いますので、面白い試合になるのは間違いないですね。前回、自分は勝ちましたが判定だったので、それ以上を見せるためにもKOで決着をつけたいです」
――西京選手は、この試合へかける気持ちは強いと思います。
「それでいったら、自分の方が上ですよ。自分との試合の後、西京選手は気持ちが切れて2年間も格闘技から離れていたみたいなので、そんな選手に気持ちで負けないです。自分は、西京選手が離れていた時期にベルトを獲って、でもその後に負けて獲られたり、プライベートでは子どもが生まれたりと、いろいろなことがあって成長していると思います。気持ちでは絶対に負けていないですね」
――気持ちの強い方が最後は勝つと。
「背負っているものが多い方が、最後は勝負に出ると思います。西京選手は自分にまた負けていなくなるのか分かりませんけど、自分は勝っても負けても一番になりたいと上を向いてずっとやってきているので、今回の試合でそれが出ると思っています」
「本当はワンデイトーナメントでやった方が、すごく盛り上がると思います。ライト級はいい選手が揃っているので、日本トーナメントやって世界トーナメントやったら、間違いなく盛り上がると思っていました」
――過去形ですね。
「でも、よくよく考えたら今年2月にKrushで日本人だけのライト級トーナメントをやったんので、あれが実質の日本トーナメントかなと。そこで優勝したのが西京選手で、自分は海外の選手と戦いクリアしている。自分が勝ったトーマス・アギーレ選手は大岩龍矢選手を破っていますからね。西京選手と自分が戦えば、それでいいのかなと」
――あとは階級を上げた朝久裕貴選手がいます。
「この階級ではまだ1回しか戦っていないですけど、中国のトーナメントで決勝まで勝ち進んでいることを考えても、自分と西京選手、朝久選手の3人が日本のトップかなと思っています。西京選手に勝った後、朝久選手とやって王者を決めてもらってもいい。もしくは自分と朝久選手が入ったトーナメントをやってもらってもいいですね」
――朝久裕貴選手は、ライト級トーナメントを開催して自分がすべて1RでKO勝ちしてチャンピオンになると宣言しています。
「自分も、まったく同じことを言いたいくらいです。ただ朝久選手のこれまでの実力や実績を考えると、すごい選手なのは間違いない。自分は負ける時は負けてここまで這い上がって来た。でも1R勝負ならば自分も得意なので、相打ち覚悟で胸を借りさせていただきます」
――ファンが見たいのは、世界の強豪がエントリーしたライト級トーナメントでしょうね。朝久選手を破っているジョージアのジョルジ・マラニア選手が出てきたら、かなり注目を集めることになりそうです。
「一回戦からやりたいですね。1R勝負でやりますよ」
――それは楽しみですね。
「自分は負けることを恐れずにガンガンいくことを信条にしているので、勝った時に盛り上がる。でも逆に西京選手は負けたくないというスタイルでくるから、普通に判定になる可能性もありますね。自分は、相打ち覚悟で来る方が合っています」
――激闘を好むからこそ、重い階級に負けないという意識が強いのですね。
「そうです。ターザン選手みたいなファイターは、重い階級でも絶対に何かを見せてくれるからいいんですけど、最初だけ打ち合いを見せてスタミナが切れて何をしているのか分からなくなるような選手同士の試合は面白くないですよね」
――あと里見選手は、まだ実績のないファイターがK-1に参戦する傾向を見て苦言を呈していました。
「今年の福岡大会で初参戦の選手が多く、あれは…と思いました。小さい頃からK-1の舞台へ上がりたいと思い、アマチュアで実績を積んでKrushでしのぎを削って、ようやくK-1に辿り着く選手もいる中で、地元だからといって簡単に出れるのはどうかなと」
――地方大会の恩恵もあります。
「それにしても…という感じでした。試合で魅せられる実力があればいいですけど、そこまでのレベルではない選手や連敗中の選手が出てくるのはと思ってしまいました。K-1のリングは、カーフキックばかり蹴って勝ちに徹している選手が出る場ではないと自分は思っています」
――いつも熱い試合をする里見選手だからこその意見ですね。西京戦も期待しています。
「次の試合は、背負っている覚悟が違うところを見せたいと思います。自分がK-1を引っ張っていく覚悟の違いを見せたいですね」