女王SAHO「3回防衛しないと納得できない」初防衛戦でフェルナンデスを迎え撃つ=7.13 K-1福岡
SAHOは、24年3月にアントニア・プリフティを判定で下して、第3代K-1 WORLD GP女子フライ級王者となった。同年10月はエリヴァン・バルトから王座奪取後初の試合で勝利。25年2月はNJKFでダンコンファー・キヤペットノーイジムを破った。
フェルナンデスは、WBCムエタイ、ISKA、FEKMと数々のタイトルを獲得してきたスペインのムエタイ戦士。14歳からキックボクシングを始め、強烈な左ミドルキック、リーチを活かした右のパンチの強打を持つ。ONEには22年7月に初参戦しジャネット・トッドに敗北も、2戦目でダオコンファー・バンチャメークから判定勝ちを収めた。その後、3連敗を喫し今回のK-1初参戦でSAHOの王座と再起を狙う。
「戦績を見ると負けとかもあるんですけど、獲得したベルトの数が多く、試合映像では感じられない強さがあるのかなと思いました。油断はしていないです。あれだけタイトルを獲得しているわけですから、勝ち方を知っているのかなと思っています」
――K-1の女子選手は、呼んでみたら強かったということが過去に多くありました。
「たしかに、そういう傾向はありますよね。だから、まったく油断はしていないです」
――今回の試合のために、朝久道場やWIZARDキックボクシングジムなどで出稽古したようですね。
「今までは、ただガツガツ前に攻めることしか考えていませんでした。でも朝久道場ではディフェンスとかサイドへの回り込み、あえて誘ってカウンターを狙うとか、そうした攻防を学びました。WIZARDキックボクシングジムでは、それを試す感じと最後にアドバイスもいただきました。マススパーですが、全員男子選手とやらせてもらい、とても勉強になりました」
「リターンは速いけど、全部100%で戦っているから倒せないと言われました。どこかに集中してしまっていて、倒せないと。これまで自分は、倒そうと思って顔ばかり狙っていたので。相手が気づかない攻撃をもらうから倒れるわけで、そのための技の散らし方や心理、駆け引きなどを教えてもらいました」
――女子の試合は近距離での攻防が多くなり、倒し切れないイメージがあります。
「クリンチはなくしたいですね。接近戦ばかりでクリンチが多いと、見ている人も面白くないと思うので」
――なぜ、ああいう展開が多いのでしょうか?気持ちが先行してしまうのか、それとも技術なのか。
「技術だと思いますけどね、そこでの冷静さもそうでしょうし」
――今回、SAHO選手は初防衛戦なので気持ちが入り過ぎないか心配な面もあります。
「そこで気持ちが入り過ぎて空回りすると自分の動きができなくなりますので、あまり考えないようにしています。そうならないように、今回教えてもらっています。追い込まれる場面があっても、やられたと思うのではなく、誘っているだけやと。常に下がっている時も前へいっている時も、自分の空間やと思えと言われています」
――そう思えると心理的に有利になりますね。
「余裕ができるので、冷静に戦うことはできると思います。あと相手は手足が長いので、どこまで中へ入れるかもあります」
「それなりに相手が打ち合いにきてくれないと、試合は面白くならないので勝負してほしいです。おそらく距離を取りにくると思いますけど、そこをいかに誘うかがポイントになりそうですね」
――相手はファイタータイプではなく、待ちのスタイルですね。
「そこが難しいですよね。自分に求められるのはKOだと思うので、いかに崩すことができるかですね。そのためにも、どれだけ誘うことができるかにかかっています」
――2月にNJKFで試合をしましたが、あの時の動きはいかがでしたか?
「全然ダメでした。首相撲があったのもありましたけど、首中心になって自分の動きが出せなかったです。でも、今回の防衛戦前に試合をしたのは大きかったですね。試合間隔が空くと動きが悪くなるので、そこで1戦をしたことで変わってくると思います」
――この5カ月、どんな点を強化してきたのでしょうか。
「常に冷静に戦うことです。ジムでの練習相手は後輩になるので、スパーで一発もらったら、どうしてもガーといってしまう。そこは、もらっても気にせずに気持ちをコントロールすること。そこを意識してやっています。気持ち一つで動きが変わってくるので」
――熱くなるところもSAHO選手の魅力ですが、倒すためには見極めも必要になると。
「あとは技の強弱ですね。ただ前へ出てガチガチにやるだけではなく強弱や技のバリエーションをつけたり。そこも意識して取り組んでいます。これまでカーフキックや三日月蹴り、バックブローとかはあまりやっていなかったんですけど、冷静に戦えていれば出せるかもしれないですね」
――ご自身で、こういうチャンピオンで見られたいという思いはありますか。
「それはあります。KANA選手が3回タイトルを防衛しているので、それを越さないとフライ級チャンピオンとは思えないし、自分の中で納得いかない」
――納得いかないと。
「防衛3回の記録が残っているので、そこを越えないと自分のプライド的に納得いかないです」
「自分の相手は毎回、強いしタフですよね。身体が強い相手が多いです」
――海外から強い相手を呼ぶと、みんな身体が強くなります。
「自分は、そっちの方が燃えるので。今回のララ選手は、インスタグラムのフォロワー数が3万人とかいる有名な選手なので、世界で名を広めるチャンスかなと思っています」
「はい。練習だと、これで倒せるという技はあるんですけど、なかなか試合で出せない。相手があってのことなので、タイミングも含めてその感覚が見につけば、自然とKOが生まれてくると思います」
――フェルナンデス選手は、Pizza Power(ピザパワー)と呼ばれるファイターです。
「自分はフィジカルトレーニングでパワーアップしてきましたので、Pizza PowerをKOしたいです」