「K'FESTA.6」3.12(日)代々木<インタビュー>野杁正明「アスケロフ戦は自分の今の実力が試される試合になる。『THE MATCH 2022』で期待を裏切ってしまった人たちにも、満足してもらえる内容と結果を見せたい」
──いよいよ復帰戦が決まりました。昨年6月「THE MATCH 2022」東京ドーム大会での海人戦を振り返ってみていかがですか?
「まあ負けたな、と。本当に悔しかったですし、何よりたくさんの期待に応えられなかったというか。本当に悔しいの一言ですね」
──K-1のチャンピオンとして注目する大会での試合ということもあって、普段の試合よりもプレッシャーがかかる部分はありましたか?
「それは全然なかったですね。僕は緊張しないですし、会場がドームだったからっていうのもないですし、いつも通りの試合でしたね。ただ、メインの武尊くんにいい結果、いい内容で繋げられなくて悔しかったです」
──その試合で拳を怪我したということで長期欠場されていましたが、現在はどのような状況ですか?
「もう大丈夫です。欠場期間中もできる範囲のことはやっていましたし、右の拳が使えなくても左と足は使えますからね。走り込みメインでやりつつ、ジムワークも普通に右手なしでやっていました」
──では、その期間はリハビリも含めて、今まで取り組んできたことをしっかりとやって強化に努めていた感じですか?
「今までやってきたことプラス、自分に足りなかった部分を重点的にやってきましたね」
──欠場前よりもさらにパワーアップした実感はありますか?
「したと思いますね。自分でもパワーアップしていると感じているんですけど、トレーナーからもそう言われていますし、今度の試合ではまた進化した姿を見せられるんじゃないかなと思います」
──そして、復帰戦は「K’FESTA.6」で決まりました。このタイミングでの復帰はいかがですか?
「正直に嬉しいの一言ですね。「K’FESTA」は年に一度のビッグイベントですし、そういった大会に6年連続・全大会に出場できるのは嬉しいですね。ただ、復帰戦という形になるんですけど、そんなに特別視はしてないです。いつも通りですね」
──対戦相手のジャバル・アスケロフ選手についてですが、オファーが来た時はかなり喜んだとおっしゃっていました。前から希望していた海外の選手との対戦ですけど、野杁選手にとっても相当そそられるものがあったんですか?
「一昔前の選手にはなるんですけど、本当に強豪と呼ばれた選手たちと対戦していますからね。その全選手に勝っているわけではないですけど、そういう名前のある強豪選手たちと対戦してきたという実績は事実なので、そういった意味でも自分の今の実力が試される試合になるんじゃないかという点で、自分自身でもワクワクしていますね」
──ウェルター級で戦っていて、やはり日本人選手相手だと物足りなさを感じていますか?
「日本人選手とやって盛り上がるなら全然いいんですけど、僕が目指しているのはそこじゃないし、日本にいますけど世界最強になりたくて僕は格闘技をやっていますから。そういった意味でも今回の試合は組んでもらえて凄く嬉しいですし、自分が試される試合なのかなと捉えています」
──その試される試合でどんな勝ち方を思い描いていますか?
「2パターン用意していて、相手に何もさせずに圧勝するパターンか、最初に狙えるところでいつも通りの流れの中でKOするかですね。それは流れに任せようかなと思っています」
──それと今回は年間最大のビッグマッチである「K'FESTA」ですから、タイトルマッチも含め注目カードがずらりと並びます。その中で野杁正明としてはどんな存在感を示したいと思っていますか?
「今回出場するK-1チャンピオンの中でタイトルマッチじゃないのは僕だけなのかな? 階級もウェルター級ではないですし、そこはいろいろ言われるかもしれないですけど、そういう声を全部黙らせるような結果と内容で僕は証明していかないといけないと思いますし、そこしか求められてないと思うんですよ。裏切ってしまったたくさんのファンの人たちにも、満足してもらえるような内容と結果を見せたいですね」
──「裏切ってしまった」というお言葉が出ましたけど、やはり「THE MATCH」での敗戦は心に引っかかるというか、払拭したい部分ではあるんですか?
「そうですね。まあ今回勝ったからと言って、海人選手にリベンジしない限りは…っていうのはあります。でも、海人選手も海外で活躍したいって言っていますし、僕も世界最強を目指しているんで、お互いが勝ち続ければどっかしらのタイミングで交わることもあると思うんですよ。だから、僕は決められた試合、組まれた試合を一戦一戦こなしていくだけですね」
──分かりました。あと会見では3階級制覇というお話もされていました。今回はウェルター級ではなく69kgでの試合になりますが、そこも含めて今後はどんな展望を持っているんですか?
「純粋に世界の選手を見てみた感じ、やっぱり70kgの選手が多いんですよ。そういった中で今回は初の試みになりますけど、69kgでオファーがあってOKしたっていう感じなんですけど、この試合で通用するのかしないのかが分かると思うんで、通用するならどっちでもいいのかなと思ったりはしています。負けることは1ミリも考えてないんで、挑戦していく形で僕は臨もうと思っています」
──今はチャンピオンですし受けて立つことが多いですけど、やはり挑戦という形の方が気持ちを掻き立てられる部分はありますか?
「どっちでもいいんですけど…守りに入ると人って強くならないと思うんですよ。一応、ウェルター級のベルトは僕が持っているんですけど、このベルトは世界一のベルトではないと思っていますからね。やっぱりベルトを獲った時のトーナメントは日本人選手しか出ていなかったですし、ウェルターで世界一を目指すのであれば世界トーナメントをやるべきだと僕は思っているんで、どちらにしろ挑戦という形で考えています」
──例えば、今回の大会にはかつて戦ったジョーダン・ピケオー選手がスーパー・ウェルター級で試合を行ないます。そのへんは意識しますか?
「ピケオーがウェルターの時に試合をして負けていますし、タイミングが合えばやりたいなと思っているんですけどね。ピケオーって、『ブラザー!』みたいな感じで毎回メッセージをくれたりするんですけど、今大会で久しぶりに会えますし、仲が悪いわけじゃないんで、いろいろ喋りたいですね。まあ対戦が決まれば、僕は仲のいい選手とでも全然対戦できますし、そこは時が来たらっていう感じですね」
──それと今大会でスーパー・ウェルター級のベルトに挑戦するジョムトーン・ストライカージム選手ですが、こちらはスーパー・ウェルター級、ウェルター級、スーパー・ライト級と階級を落としながらの3階級制覇を狙うと公言しています。それについてはどうお考えですか?
「次のタイトルマッチをやってどっちが勝つか分からないですけど、『ジョムトーンとやってくれ』っていう声はファンの方からも凄く届いていますし、僕はどの階級でもいいよっていう感じですね。問題ないですね。K-1に出てからの2試合とも見ていますし、倒せるパターンも見つかっているんで全然問題のない相手です」
──分かりました。お話を聞いていると、野杁選手は現状に満足せず、もっともっと強くなっていきたいという気持ちが強いように感じますが、やはりもっと強さを求めていきたいですか?
「強くなりたいでしかないです。まだまだ全然弱いと思っているし、まだまだ伸びしろもあるんで、強くなれる部分はいくらでもあると思うんですよ。まだまだ強くなります」