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「K-1 WORLD GP」9.11(日)横浜<インタビュー>卜部弘嵩「僕のなかで60kg=黄金の階級。これからの選手たちには改めて60kgを盛り上げてほしい」

 9月11日(日)神奈川・横浜アリーナで開催される「K-1 WORLD GP 2022 JAPAN~よこはまつり~」にて、引退セレモニーを行う第2代K-1スーパー・フェザー級王者の卜部弘嵩。現役生活を振り返る特別インタビューを公開!

──引退発表して周りの反響はいかがでしたか?

「今までよく頑張ったと声をかけていただくことも多かったですし、引退試合を見たかったという声も結構ありました。ただ僕も正式に引退を発表して、普段の仕事も始めている中で、試合をしたいという気持ちはもうないですね」

──現役最後の試合が島野浩太朗選手との試合になりました。島野選手は弘嵩選手にとって思い入れのある相手だと思うのですが、あの試合で区切りをつけようという気持ちはあったのですか?

「そうですね。本音を言うと、試合をやる前からこれを最後にしようというのはなんとなく決めてました。だからあのタイミングで島野と試合をしたことは(引退を決める)一つのきっかけでしたね」

──改めてプロのキャリアを振り返ってどんな時間でしたか?

「現役中、やっていた時は結構キツいこともたくさんあったんで、早く引退したいなと思った時もたくさんあったんですけど、終わってみれば凄くいい格闘技人生だったなって思います」

──弘嵩選手は旧K-1が活動休止になり、KrushをきっかけにK-1が復活して、そのK-1初期を支えたというキャリアで、今思うと激動だったと思います。旧K-1が活動休止になった時はどんな気持ちだったんですか?

「どうしたらもっと注目を浴びるのかっていうのを凄く考えてましたね。僕の場合は喋ったり、芸能活動だったりで注目を浴びるという選択肢はなかったんで、試合で注目を浴びられるようにしないとっていう感じでした」

──アピールどうこうではなく、純粋にいい試合をしてお客さんに喜んでもらうっていうことを一番に考えていたんですか?

「はい。そこを凄く考えてました。判定まで行ったら自分の負けだといつも思ってました」

──それは格闘家として元々弘嵩選手が持っていたものなのか、それともプロとしてやっていくいうちに芽生えてきたものなのか、どちらですか?

「元々持っていた部分はありますね。相手を倒せないなら、勝ったとは言えないっていう。どこかでそういう気持ちは常にありました」

──実際にリング上で劇的な試合やKOも多かったと思うんですけど、自分で印象に残っている勝ち方やKOはありますか?

「初めてのタイトルマッチっていうのもあって“狂拳”竹内裕二さんとやった試合は印象に残っています。KO勝ちで試合内容も自分の中で納得できたし、結果的にベルトも獲ったっていうので、凄く良かったなっていう感じですね」

──「自分たちがKrushを盛り上げていくんだ」や「K-1の軽量級を復活させるんだ!」という気持ちは持っていましたか?

「常にそういう気持ちでやってました。ただ当時の若手のメンバーで色々話していたんですけど、旧K-1が活動休止になって『この先、10年~15年じゃK-1は復活しないらしい』って、変な噂が流れてきて。それじゃあ現役中は(K-1復活は)間に合わないなっていうのがあって。だったら自分たちが試合で魅せて、もう一回あの舞台を復活させようという話をしてました」

──誰かに任せるんじゃなくて、俺らでやるしかないなみたいな。

「はい、まさにそうですね」

──その気持ちは当時のKrushに出ていた選手たちの試合に出ていましたよね。

「結構、みんなその気持ちでした、あの頃は。試合で勝ってるのに必死でやるみたいな」

──2014年に実際にK-1が復活した時の喜びというのは「やっと復活したな」という気持ちだったのか、「よし、じゃあここから頑張ろう」っていう気持ちだったのか、どんな心境でしたか?

「それまでも激闘が続いていたんで、僕の中ではギリギリ間に合ったなっていう気持ちでした。年齢はまだ25ぐらいだったと思うんですけど、自分の中でもとんでもないキャリアをやってきたっていう実感があったので」

──K-1では卜部功也選手との兄弟対決が大きな試合だったと思います。

「とにかく兄としての意地がありましたよね、その試合は。僕はガンガン打ち合うタイプで、弟はテクニシャンタイプなんで、もし2人がやったら僕の方が分が悪いとか、周りや身内からも言われてたんですよ。2人がやったら弟のほうが勝つみたいな。それがどうしても納得できなくて」

──いつかやってやろうみたいな気持ちはあったんですか?

「少しはありましたね。もし試合する時が来たら、絶対やってやろうって」

──現役生活はたくさんの名勝負を残してきて、今の選手では経験できないキャリアを過ごしてきたと思うんですけど、弘嵩選手の中でプロ生活で経験してきたもので、これからの人生で活かされそうっていうのはありますか?

「例えば僕は現役生活中にスポンサー募集って一回もやったことないんですよ。それは自分の中で決めていたことで、自分からは絶対に頭を下げてお願いしない、自分で自分の価値を下げることはしたくないな、と」

――そこはこだわりがあったんですね。

「もちろん応援してくれた方はいるし、感謝しています。でもスポンサーさんやファンの人たちに媚びちゃいけないと思っていて。自分がプロとして魅力的な試合をしていれば、自然に応援してくれる人も増えると思っていたし、ちゃんといい試合をしていれば、変な媚び方はしなくていいと。そこは自分のプロ根性というか、職人ですね」

──そういったことも含めて、今の若い選手や世代的には弘嵩選手の試合を見て格闘技を始めましたとかジム入りましたとかっていう選手もいると思うんですけど、そういう方たちに伝えたいことはありますか?

「今の人たちには今の人たちの盛り上げるスタイルがあって、それで凄く活躍をしている選手もいるし、僕は逆にそういうやり方もあるんだろうなって今の若い選手を見て勉強をしています」

──今の選手たちは今の選手たちで一生懸命に好きにやってもらえればいいという感じですか?

「はい。ある程度土台はできている段階なので、あとはそこからの伸ばし方ですね。僕らは旧K-1が潰れた時点で格闘技の評価はマイナスになったと思うんですよ。それを一旦0まで持っていって、そこから1にしたっていう自負はあります。だからこれからの選手たちは1を10にする段階だと思っていて、そのやり方は今の選手たちに任せたいですね」

──奇しくも弘嵩選手が引退セレモニーをする大会で、弘嵩選手も巻いていたベルトをかけたトーナメントがあります。注目しているポイントはありますか?

「僕がデビューした頃の60kgは僕らの先輩たちが凄く盛り上げていた階級で、僕のなかで60kg=黄金の階級だと思うんですよ。選手層も全階級の中で一番厚いと思うし、今K-1は世代交代のタイミングでもあると思うんですけど、そのタイミングで改めて60kgという階級を盛り上げてもらいたいですね」
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