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「K-1 WORLD GP」6.3(土)横浜<特別コラム>K-1ミドル級新設で世界各国からチャンスに飢えた男たちが集結!神保・松倉は世界の壁を超えられるか?

 6月3日(土)横浜武道館で開催される「AZABU PRESENTS K-1 WORLD GP 2023~初代ミドル級王座決定トーナメント~」。今大会に向けた特別コラムを配信します。今回は初代ミドル級王座決定トーナメント編を公開!

「それを作れば、彼はやってくる」
 映画「フィールド・オブ・ドリームス」の名セリフ。ある日不思議な声を聞いた農夫がトウモロコシ畑に野球場を作るとかつての名選手たちが現れてーー。
 2021年にはロケ地に新設された球場でメジャーリーグ公式戦「MLBアット・フィールド・オブ・ドリームス」が開催されるほど今も野球ファンの心を掴む不朽の名作だが、K-1の新階級設立ニュースを見て思い浮かぶのは冒頭の言葉だ。

 6月3日、横浜武道館で開催されるK-1 WORLD GPにてK-1ミドル級(75kg)の初代王座決定トーナメントが開催される。
 このトーナメントに並々ならぬ決意で臨むのが神保克哉と松倉信太郎だ。

 神保は2020年11月Bigbangでの試合(MIKE JOEに判定勝ち)をきっかけにスーパー・ウェルター級よりも重い契約体重で試合を始めると破竹の7連勝をマーク。75kg級の新設という明確な目標を掲げ、試合に勝つたびに「K-1に75kg級を作ってほしい」とアピールし続けた。
 昨年9月の横浜アリーナ大会では舌戦を繰り広げてきた松倉信太郎と壮絶な激闘を演じ、先制のダウンを奪われながらド根性ファイトで逆転のKO勝利。この内容が高く評価されてミドル級新設が決まった。
 初代王座決定トーナメントの顔ぶれを見て、神保はこんなことを明かした。
「トーナメントに参戦する選手はみんな、何かしらのベルトを持ってるんですよ。何も持ってないのは俺だけ。だから、初めて巻くベルトがK-1なんです。いいじゃないですか」
 さらに「初代のベルトを巻くことは階級を創ると言った人間の責任」という想いを持ってトーナメントに臨む。
「言い出しっぺが獲らないとダメでしょ。俺も中途半端な気持ちで階級を創って欲しいと言ったわけじゃないし、それだけの試合をやってきてK-1にミドル級を創るところまで持ってきた。初代のベルトを巻くことは階級を創ると言った人間の責任だと思っていますよ」

 昨年4月に「K-1世界チャンピオンになる」と5年ぶりのK-1復帰を決めた松倉信太郎。逆転KO負けを喫した神保戦を含めK-1復帰後の3試合とも「倒すか倒されるか」の激闘を演じ、今回のミドル級新設のもう一人の立役者と言えるだろう。
「面白い試合をしようと思ったわけではないですけど、やる覚悟とやられる覚悟を持って全力でやってきた結果、インパクトの残る試合が出来たかな、と」
 試合を通して「今のK-1で勝つにはボクシングとフィジカルが必要」と感じた松倉はボクシングとフィジカルの強化に着手。3月のK‘FESTAではイゴール・シウバを右ストレート一撃でKO。また元々大きな体はさらに厚みを増して、重量級ファイターのような迫力がある。松倉が求めるのは「結果」だ。
「僕は記念や想い出作りでK-1に戻ってきたわけじゃない。K-1チャンピオンになるために格闘技を始めて、K-1チャンピオンになるためにK-1に戻ってきたので、絶対に優勝します」

 K-1ミドル級王座に熱い思いを持っているのは神保と松倉だけではない。日系ブラジル人ファイターの草分けで「ブラジリアンタイ」代表のダニロ・ザノリニは「私は2008年にK-1トライアウトを受けて、2010年にK-1MAXに出場しました。他団体で67kgや70kgのベルトは獲りましたけど、階級を上げてからはK-1チャンピオンになるチャンスをずっと待っていました」と言う。
 2021年3月以降、K-1 GROUPを離れ、ムエタイルールでキャリアを積んできたMIKE JOEも「このトーナメントのメンバーの一人に選ばれて本当にうれしい。自分もK-1の歴史に名前を刻む覚悟でトーナメントに挑む」とK-1王座への想いを語った。

 K-1が新階級を作ればチャンスを求めてファイターが集まってくる。
 2018年にクルーザー級(90kg)が新設されるとK-Jeeをはじめとする重量級ファイターたちがクルーザー級に戦いの場を求め、谷川聖哉など他団体で戦ってきた選手たちも続々と参戦。MMAから加藤久輝、ANIMAL☆KOJI、フルコンタクト空手から星龍之介、山口翔大らと他競技からの参戦も相次ぎ、わずか4年で日本人ファイターの選手層は充実した。
 今回のミドル級ではそうした現象が世界的に起こる予感がする。中村プロデューサーはこう指摘する。
「立ち技格闘技の歴史を振り返ると、75kgでワールドワイドなトーナメントが開催されることは少なかったと思うんです。
 もともと67.5kgで試合をしていたハッサン・トイは通常体重が増えて『70kg以下に落ちない』『75kgがベストウエイト』ということで今回のトーナメントのオファーは即決でしたし、リー・ホイは中国ミドル級最強の呼び声が高く、世界にその強さをアピールできるチャンスがきたと思います。
 ムスタファ・ハイダはONE Championshipでもタイトルマッチを経験している強豪で、ミドル級新設をきっかけにK-1王座を目指して参戦します。ヴィニシウス・ディオニツィオは今年3月『K'FESTA.6』で神保選手の相手として招聘したら神保選手に勝って、まさに自力でチャンスを勝ち取りました。
『70kgで戦うには大きすぎるけど、80kg~90kgで戦うには小さい』選手、そのくらいの体格で大舞台で戦うチャンス・K-1で戦うチャンスに飢えた選手たちが世界中にいるので、そういった選手たちをどんどんK-1のミドル級に参戦させたい。
 今回の初代王座決定トーナメントが神保・松倉の日本人2人が世界の強豪に挑む形になったように、この階級は世界各国からまだ見ぬ強豪がやってきて“日本人が世界に挑む”が大きなテーマになると思います」
 まずはトーナメントを勝ち抜き、新設されたミドル級の栄えある「初代王座」を掴み、歴史に名前を残るのは誰か。6月3日、横浜武道館「K-1 WORLD GP~初代ミドル級王座決定トーナメント」に大いに注目したい。
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