2018.03.15

宮田充K-1プロデューサーが大会のテーマ・総括など、プロデューサーとしての目線で語るコーナー。今回は宮田プロデューサーが「Krush.86」3.10(日)後楽園大会を振り返ります!

──まず今大会全体を見て一番インパクトのあった選手は誰ですか?

「一番のインパクトでいうと、-63kgのFUMIYAくんですね。試合内容でも中村広輝vsFUMIYAだったかな、と。試合を見ていて『この選手は良くなったな』とか『よくこの相手に勝ったな』というの成長ポイントというか、今回のFUMIYAくんは“試合中に成長している”ぐらいのものを感じました。そして何より、お客さんが一番熱くなってくれた試合、びっくりした試合というところでも中村vsFUMIYAでしたね。想像以上の試合を見せてくれました」

──宮田さんも色々な選手を見てきたと思いますが、今までにFUMIYA選手のようなタイプはいましたか?

「FUMIYAくんは2016年の暮れにはまだK-1のアマチュア大会に出ていた選手で、アマチュア大会が終わった後に“DYNAMITE” 髙橋佑太くんがポゴナ・クラブジムさんの方とFUMIYAくんを挨拶に連れてきてくれたんですよ。『まだ全日本大会も獲ってないんですけど、プロ向きだと思うんで、もし試合機会があったらよろしくお願いします』と。それでデビュー戦を組んだんですけど、デビュー戦は鈴木勇人くんに倒し倒されの試合でKO勝ちして、それでプロ2戦めで中国遠征に連れて行っちゃったんですよ」

――それは何か理由があったのですか?

「もともと65kgで出場予定だった選手が負傷欠場になって、なんとかして65kgの選手を探さないといけなかったんです。時期的に試合が出来る選手だったら誰でもいいぐらいの状況で、中国サイドからも『キャリアがなくてもガンガン来る選手がいい』と言われていて、それでFUMIYAくんに声をかけました」

――ただ対戦相手は中国-65kgのトップファイターのヤン・ジョーですよね?

「はい。ジムさんには『ヤン・ジョーは強い選手ですが、経験だと思ってどうですか?』とお伝えしたら、ぜひやってみたいという返事をもらって。さすがに厳しいだろうなと思っていたら、いざ試合になると判定まで戦い抜いたんですよね。内容的にも前向きで良い試合だったので、どんどん試合を組んでいこうと思いました。FUMIYAくんとポゴナ・クラブジムさんはすごく試合に対して気持ちが前向きで、今回の中村広輝戦でも『勉強します』とか『善戦できれば』という気持ちではなく、絶対に勝つんだという気持ちで戦い抜いての逆転勝ちでした。これだけキャリアの差があって、ああいう番狂わせは久々に見ましたし、KOにつながったバックブローも、ずっと練習していた技かもしれませんが、必死に出した一発だったのかなと思います。

 あと、それを引き出した中村くんも、ある意味“さすが”ですよね。今回、中村くんからすれば損なマッチメイクだったと思うんですけど、40戦というキャリアで挑戦者決定トーナメントに出てくれて。FUMIYA戦でかなり怪我を負ってしまったので、今はじっくり休んでもらいたいですね。中村くんはREBELSさんがホームリングですが、機会があればぜひまた戦うリングを用意させてもらいたいです。もうひとつの-63kg、篠原悠人vs細越貴己の試合は、派手な決着ではなかったですが、篠原くんが粘り強くてやりづらい相手にしっかり勝ったなと思います」

──結果的に篠原選手の判定勝利でしたが、後半に篠原選手が失速して細越選手が勝つ可能性もあった試合だと思います。

「例えば組み合わせが違って、中村vs篠原だったら篠原くんの良さがもっと出たかもしれないし、細越vsFUMIYAだったらFUMIYAくんはかなりやり辛かったかもしれない。そういう組み合わせの妙もあるのかなと。結果的にチャンピオン・中澤純くんへの挑戦権を賭けて、篠原くんとFUMIYAくんが7カ月ぶりの再戦を行うことになりました。前回『KHAOS』新宿FACEで戦った二人が、今度は3倍以上の観衆が見つめる後楽園のリングでどんな戦いを見せるのか。K-1甲子園チャンピオン、言わばエリートの篠原くんと、激闘を重ねてきた叩き上げのFUMIYAくん、という意味でも面白いんじゃないですかね」

──中村vsFUMIYA以外では島野浩太朗vs山本直樹もインパクトのある試合だったと思います。

「これも良い勝負でしたね。試合が終わってから菅原会長、優弥会長とも話したんですけど『あの頑丈な直樹が倒されるとは…』と優弥くんはびっくりしてましたね。ややピンチになりかけたところで逆転させた、ひっくり返した島野くんがお見事でした。逆に、勝負の怖さを知らされた山本くんが今後、どう盛り返していくか、どんな選手になっていくかに注目したいです。生き残ったというところでは佐野天馬vs芦澤竜誠の、芦澤くんの勝ちっぷりも見事でしたね。僕の中で芦澤くんは当たれば勝ち、リズムが合わないやり辛い相手とやると負けてしまう、という印象だったんですけど、今回はすごく最後まで集中して戦っていたと思います」

──僕もずばり芦澤選手にとって佐野選手は相性が悪いタイプだと思っていました。

「ペガサス代表の梶原くんが、芦澤くんを“ガマン”させて戦わせていたのかなと感じました。結果的に佐野戦の勝利がK-1のトーナメント出場に結びついたわけで、口で色々というタイプですが、いよいよ本気になってきたなと。芦澤くんもペガサスに移籍してK-1を目指してきた選手なんで、次はトーナメントで世界を相手に思い切り暴れてほしいです。

 椿原龍矢くんと玖村将史くんの試合は、もともと注目度が高かったですが素晴らしかったですね。玖村くんは1月のKrushデビュー戦に続いて、見ていてびっくりする動きを見せてくれました。まして相手が、12月に西京春馬を破った椿原くんですから。玖村くんはまだキャリア8戦で、Krushでは2戦目なので、どんどん試合を組んでいきたいですね。(対戦カードを眺めながら)-63kgでは“バズーカ”巧樹くんと大沢文也くんが結果として勝って、5月の後楽園で2人の試合が決まりました。大沢くんは-63kgに階級を上げてから強さが安定してきた印象があります。バズーカくんは曲者の稲石くんを破っているし、5.17後楽園で勝った方がチャンピオンを狙う流れになると思うので、より激しい試合になると思います」

――メインイベントの-58kg王者・西京春馬vs挑戦者・村越優汰の一戦は延長判定2-1で西京選手が村越選手に競り勝ちました。

「本当にジャッジ泣かせの接戦でした。お互いに勝ちたいという気持ちが両者あって、必ずしもセミファイナル(中村vsFUMIYA)のような試合にはならなかったですけど、逆にあの勝負を楽しめたというファンの方もいました。西京くんにはどんどん強い相手を当てていこうと考えていて、昨年12月のK-1後楽園大会で椿原くんに負けた後で、実績・キャリアが十分な村越くんが挑戦者にふさわしいということで組んだ試合でした。村越くんが西京くんを苦しめたという見方も出来るし、西京くんの方が一枚上手だったとも言える内容でした。西京くんの目線で言えば、倍以上のキャリアのある村越くんと渡り合ったことは、大きな自信になったと思います。この結果を受けて、2人は6.17さいたまのK-1の第2代フェザー級王座決定トーナメントに出場が決まりました。彼らが、初めてのワンデートーナメントでどう戦うかに注目しています」

――それでは最後にプレリミナリーファイトについても触れていただけますか?

「久保一馬vs谷中蒼空がプレリミナリーファイトの第1試合としては非常に良かったですね。K-1アマチュア大会から出てきた選手がああいう激しい打撃戦を見せてくれたのはよかったです。あとはずっとプレリミナリーでやってきた川口拓真くんがKO勝ちして、次は5月の後楽園で初の本戦ですよね。しかも相手は里見柚己くんで…これはいいカードだな(笑)。K-1アマチュア大会からの流れで見ていると、K-1ジムでは総本部、五反田、横浜にイキのいい若手選手が出てきましたね。6月10日のK-1アマチュア全日本の後にも、またプロデビューしてくる選手が出てくるので、そこも注目してもらいたいですね」