関根勤さん・魔裟斗さん・久松郁実さんが語る!2021年K-1座談会<1>「MVP編」

2022.01.05

K-1中継のレギュラー解説でお馴染みの関根勤さん・魔裟斗さん・久松郁実さんによる2021年K-1座談会が実現。今回は「MVP編」として、それぞれが選ぶ年間MVPについて語り合いました。

――2021年のK-1をリングサイドで見守った解説陣に振り返っていただきます。まずみなさんが考える2021年のMVPを教えてください。

魔裟斗 たくさん活躍した選手がいましたね。武尊はレオナ・ペタスといい試合をしましたし、和島大海が木村“フィリップ”ミノルに、朝久泰央がゴンナパー・ウィラサクレックに勝ったのもよかったです。でも、僕の中ではトーナメントを制した野杁正明かな。トーナメントの決勝戦で、順当に安保瑠輝也と対戦することになって、安保がいくかと思いきや倒しましたね。

久松郁実(以下、久松) 予想では安保選手優勝も多かったですね。

魔裟斗 そうなんですよ。

関根勤(以下、関根) 安保にいいところを出させなかったですよね。

魔裟斗 ブロックをして終始圧力を掛けて、野杁の強さと恐さを見ましたね」

関根 ずっと前に出て来られるのって嫌ですよね?

魔裟斗 嫌ですね。僕の現役時代のライバル、アンディ・サワーを見てるようでした(笑)。似てるスタイルなんですよ。固いブロッキングで相手に打たせて前に出て。安保からすればガードの上からパンチを振るんだけど、まったく効いてる素振りが見えないんですよね。安保からしたら『ガードの上から叩いてもまったく効かないし、どう倒せばいいんだ?』という感じになったと思うんですよ。だから、次やってもなかなか難しいんじゃないかな、くらいの勝ち方をした気がしたんですよね。あれだけ強さを見せられると、来年はコロナが明けて強い外国人が来日できるようになると思うし、野杁にK-1で勝ったのがジョーダン・ピケオーじゃないですか。

久松 そうでしたね。

魔裟斗 来年、また野杁とピケオーでやったら面白いんじゃないか。と、考えてMVPは野杁にさせてもらいました。

――野杁選手について、関根さん、久松さんは?

関根 高1でK-1甲子園を優勝して、天才と言われましたね。Krushではパンチを同時に打って、両方倒れてしまったことがありましたよね。

魔裟斗 ダブルノックダウン!"狂拳"竹内裕二戦!

関根 あの試合から野杁はガードが固くなりましたよね。一時消極的になったんですけども、ここのところ適正な体重にしてから調子いいですよ。天才ですよね。

魔裟斗 野杁は足が太いんですよね。

関根 トランクスに隠れてる部分が実は太いんですよ。

久松 え、そうなんですか?

関根 お尻と太ももが太い。

魔裟斗 そこがパワーの源ですからね。

関根 だから、ミドルキックもローキックも強いですよね。

魔裟斗 あの下半身があるから、ガードの上から打たせても効かないのかもしれないですよ。

――関根さんのMVPは?

関根 なんだかんだで3階級制覇王者の武尊です。強かったですねー。武尊選手が怪我をしている間に、武居由樹や江川優生とか強い選手がいろいろ出てきて、影が薄れてしまったんですよ。そこにレオナが出てきて、武尊が判定で勝った村越優生をKOしてしまった。「これはちょっと、武尊は今回キツいな」とヒヤっとしたんですけど。でも始まってみたら、黄金の拳ね。何ですかね、あの強さは。

魔裟斗 やっぱり連打のスピードですよ。

関根 あと制空権に入るスピードね。昔から言ってたのは「僕はパンチの当たるところに行く。向こうのパンチも当たるけど、そこに行って打ちたいんだ。打ち合いたいんだ」って。あのハートの強さはなかなか他の選手にはない。

魔裟斗 ただ、打ち合いの中で武尊は打たれないんですよ。

久松 それが不思議ですね。

魔裟斗 打ち合いではハンドスピードの速い方が勝つんですよ。なのでレオナより武尊のスピードの方が速かったし。で、一見「武尊はパンチが強い」イメージあるじゃないですか。ただ、最初にローキックで散らしていって、パンチで仕留める。強引にいってるようで、ちゃんと戦略を持ってるんですよね。そこが武尊の強さですよ。

関根 あと当て勘の強さ。また、武尊が出てくると会場が盛り上がるんですよ。ずっとK-1を引っ張ってきましたからね。

――久松さんが見てきて武尊選手の魅力は?

久松 タレント業もやって、練習もちゃんとしてるじゃないですか。精神的に疲れてないのかな、って毎回、結構心配してます。ただ、今となってはレオナ選手との試合は2回延期したからこそのあの盛り上がりだったのかな、って思いますね。最後、リングの上から「魔裟斗―!」って呼んだ時はびっくりしましたよ(笑)。

魔裟斗 呼び捨てにされましたからね(笑)。あの時「レオナが勝つ」って予想しちゃったんですよ。武尊はそれに対してフラストレーションが溜まってたんでしょうね。(呼び捨てされて)それで許してくれたのかな(笑)。

関根 武尊って「K-1を盛り上げたい」っていう気持ちが強いんですよ。すごく真面目で、練習も「死んでもいい」くらいやるらしいんですよ。これはYouTubeだから言いますけど、それで彼女と別れちゃうらしいです。

久松 えー、言って大丈夫ですか。

関根 追い込みすぎて、彼女に「なんで私に目を向けてくれないの」になっちゃうらしくて。試合前は減量もするし、研ぎ澄ませてピリピリピリピリしてて。普段の武尊選手と違う。

久松 もう集中して「練習だけ」になるんですね。それだと彼女もついていけないですよね。

魔裟斗 昔、武尊が言ってたんですけど「女性の口説き方とファイトスタイルは一緒だ」って(笑)。アウトボクシングで戦うヤツは女性に対してもアウトボクシング。武尊のファイルスタイルで女性を口説くっていったら、ファイターすぎますよ(一同笑)。

久松 メラメラすぎますね(笑)。

魔裟斗 と、言いながらちゃんと戦略は立てて口説くんですよ(笑)。

関根 だからやっぱり選手は本番前にピリピリするんですよ。

魔裟斗 武尊の場合、他の選手と違ってキャリアの中で1敗しかしてないじゃないですか。彼の中で「負け」がすごく大きくて、だからピリピリ度も大きくなるんだと思うんですよ。「負けたら辞める」くらいの覚悟を持ってやってるじゃないですか。

――武尊選手はそれだけの重圧に耐えて戦って勝ち続けてきた、と。

魔裟斗 僕も現役の頃は試合前にものすごくピリピリしてたんですよ。妻にもいろいろ負担を掛けるじゃないですか。だから試合が終わると必ず旅行に連れていったり、プレゼントを買っていったり。

久松 素敵!

魔裟斗 そういうケアはしないと捨てられちゃうんで(笑)。

――2022年の武尊選手、K-1ファイターとしてどういう点に注目していますか。

関根 もうビッグマッチがあるじゃないですか。

魔裟斗 ようやく決まりましたね(拍手)。

関根 もう大変だったんですよ。ここ5~6年、会う人会う人に「やんなきゃダメだよ」って。

魔裟斗 関根さんに言われても(笑)。

関根 あの88歳の菅原洋一さんに言われたんだから。イイ声で「関根さん、武尊と天心やらないのかな? やってよ」って。好きな人からは「やってくれ」って。

魔裟斗 何年前かな、武尊が勝った後に「次は天心戦じゃないか」みたいなことを言っちゃったら、俺、怒られたもんね(苦笑)。今だから言うけど「今、そういうことを言わないでくれ」って。

関根 でもそれが実現したわけですからね。

魔裟斗 それにいくらかは知らないですけど「すごいファイトマネーが決まった」と出てたんで。やっぱりそれを見たら、若い子が「あれだけお金が貰えるんなら、俺もK-1に出てやりたい」と思って、裾野が広がると思うんですよね。そういう意味でも、大事な試合が決定したんじゃないかなって思いますけどね。

――今もK-1アマチュアが盛んで、いろんな若い選手が出てきていますけど、さらに追い風になる。

魔裟斗 だって、ボクシングで井上尚弥選手が「1試合1億円」と聞くと、ボクシングやりたいと思うじゃないですか。それくらい今回、動くんじゃないですか。

関根 動くでしょう。あのクラスなんだから。二人とも連戦連勝だから。

――完全な推測で話してますけど。

関根 だから、宇宙に行ってるお金があったら、こっちにお金を出してほしいよね(笑)。

――久松さんのMVPは?
久松 私、こんな熱量で話された後に話しにくいんですけど(笑)、福岡大会の朝久泰央選手です。

関根 よかった! 朝久選手はここ2~3戦、全部いいですね。

久松 よかったですよねー。まず勝ち方がいいですよ。ゴンナパー選手との試合もそうですし、それまでの試合も技が凄いじゃないですか。

関根 蹴りがよく出るよね。

久松 そうなんです。今までパンチの選手が多かった中で、空手の、武道みたいなチャンピオンが誕生したのが印象的でしたね。

魔裟斗 この間、朝久からLINEが来たんですよ。「魔裟斗さん、素潜り4分半の記録が出ました!」って(笑)。

久松 可愛い(笑)。

関根 4分半は凄い! 海女さんとかプロの記録ですよ。

久松 私、取材で生で見たんですけど、見ている自分が苦しくなるくらい、震えながら潜っているんですよ。見ていられなかったです。

魔裟斗 お父さんと兄弟と一緒に潜るらしいんですよね。お父さんは昔、地元で有名なヤンチャぶりだったとか(笑)。

――その朝久選手の強みとは?

魔裟斗 K-1の技術プラス空手の技術が入ってて、融合しているところがいいんですよ。K-1の試合なんだけど、空手らしい前蹴りだとかヒザ蹴りだとか。ちょっと違う攻撃を出されると、K-1の選手からするとやりにくいです。ちょっとタイミングが違ったりするので。あとはスタミナですよ。1日8時間練習するっていうんですよね。

久松 タイムスケジュールを見たら、遊ぶ時間は一切なかったですもん。

魔裟斗 だって知ってますか、朝久はお酒を飲んだことがないそうですよ。

久松 ええーー。珍しい。

魔裟斗 今どき、一回も飲んだことがないって。現役中は飲まないって言ってました。今度、朝久は山籠もりの風景とか撮った方がいいですよ(一同笑)。

 

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