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「K-1 WORLD GP」9.11(日)横浜<インタビュー>松倉信太郎「お互い負けたら失うものは大きい。でもそういう勝負をしていかないと道は切り開けない」

 9月11日(日)に横浜アリーナで開催される「K-1 WORLD GP 2022 JAPAN~よこはまつり~」の[-75kg契約/3分3R・延長1R]で神保克哉と対戦する松倉信太郎のインタビューを公開!

──K-1凱旋となった4月「K’FESTA.5」代々木第一体育館大会でのジュリオ・セザール・モリ戦を振り返っていただけますか?

「K-1に戻って1発目で、しっかり倒して実力を証明したかったんですけど、僕の実力不足もあったし、久しぶりのK-1でいろいろ噛み合わない部分もあったし、ジュリオ選手が本当に強かったんで、ああいう結果になってしまったのかなと思ってます。僕自身、勝ちはしたんですけど、凄い悲しかったというか、自分に凄く落胆した試合でしたね」

──勝つには勝ったけど、思い通りにはいかなかったということですか?

「試合が終わった後の感覚は未だに思い出せるぐらいですね、ホテルに戻った時に『うわぁ、俺、やっちゃったわ…』って(苦笑)。昔の自分だったらあそこで負けてたかもしれないんですけど、僕が求めてたのは勝利というより勝ち方だったんで。あれはやってしまったっていうのがありましたね」

──久しぶりのK-1ルールという部分ではいかがでしたか?

「やっぱり、こういうインタビューを含めて別世界というか別競技っていうのはありますよね、グローブのサイズの違いやリングのサイズとか細かいところまで。まあ強い人は関係ないかもしれないけど、久しぶりのK-1という舞台にアジャストするのに手こずってしまったなっていうのはあります。ただ、あそこで学べたことがあるんで、今後のために凄く大切な一戦だったと思いますね」

──K-1という舞台を久々に踏んでみて感じたことはありますか?

「控室が大部屋だったんですけど、みんなバチバチに打ち合って帰ってくるんですよ。5年間ぐらい他団体に出てて、ここまで倒したり倒されたりっていう選手がいるっていうこと自体、僕の中ではヤベえなと思いましたね。それが僕には衝撃でした。どの選手も最後の最後まで倒しに行くし、そこはK-1だなって改めて思いました。本当にあの控室の絵は衝撃だったっていうか、みんな勝負してるなっていうのを凄く感じましたね」

──そこも含めて、今はアジャストに取り組んでいる感じですか?

「本当にぶつかり合いという部分が強い競技だなというのは改めて思ったんで、そこは重点的に取り組んでいるところの一つではありますね」

──分かりました。そして今回9月のK-1横浜アリーナ大会で神保克哉選手との対戦が決まりましたけど、オファーが来た時はどんな心境でしたか?

「最初はやるならトーナメントの決勝で、とか思っていた自分がいたんですけど、それは甘かったなと。トーナメントを開催するまでに75kgを盛り上げられてないですからね。じゃあ、今、僕に対戦相手を用意してもらって、一番盛り上がるカードっていったら神保選手との試合だと思うんですよ。そういう点では凄くありがたいカードだし、75kgをしっかり認知してもらうチャンスだと思います。僕が考えても、今この階級で一番盛り上がるカードだと思いますし、そこは凄く嬉しいですね」

──では神保選手のファイターとしての印象はいかがですか?

「ああいうキャラですけど、内田(康弘・K-1ジム目黒代表)さんに指導されている選手なんだなと思いますね。細かい技術があって、スタミナもあって。本当に倒しに行くんで、そこはK-1らしいなとは思います」

──ただ、SNSや今日の会見など、かなり激しいやり取りをされてきてますよね?

「会見が終わってSNSを見たら、『煽り合いが好きじゃないとか言いながら、めっちゃ煽ってるじゃないか』みたいに書かれてたんですよ。もちろん煽りは好きじゃないけど、僕は意味もなく煽ればいいみたいなものが嫌なだけだし、僕も怒る時は怒るし、言いたいことは言います」

──自分からはやらないけど、やられれば怒ると。

「そこは勘違いしないでほしいですね。K-1に戻ってきて、年下の人間にいきなり煽られるわけですから(苦笑)。僕からしたら『お前に対して何もしてねえだろ』っていう想いもあるし、それを我慢するのも違うなと思って、あんな感じになっちゃったんですけど。噛み合ってなかったなっていう感じですね」

──自然に感情が湧いてきてしまったらしょうがないですよね。

「本当に作っているわけじゃないですから。僕は初めての感覚だったんですけど、会見でツーショットの写真を撮ったりする時に睨み合うじゃないですか。僕は彼に対してあんまりいい気分がしてなかったんで、普通に顔を見たくなかった。1カ月ちょい待てば殴り合って結果が出るし、あそこで睨み合ったり掴み合ったりしてもしょうがないと思うんで、素直に不快な気持ちはありました」

──松倉選手からしたら難癖をつけられている感じですか?

「しつこいくらい『いきなり来て…』と言う気持ちは分かるんですけど、そもそも久々のK-1参戦ってそういうものだから(苦笑)。K-1という競技があって、そこに強い人が入ってきて、盛り上がる。それは素晴らしいことだと思うんですよね。会社の転職とかもそうだと思うんですけど、『俺はずっと頑張ってきたから一番なんだ。なんで後から入ってきた奴にそのポジションを奪われなきゃいけないんだよ』っていうのは、ちょっと違いますよ。でも僕が5年前にK-1で最後にやったのが日菜太選手との試合なんですけど、あの時は僕がK-1でずっとやってきて、日菜太選手が外から来てっていう感じで。僕も神保選手ほどやって(煽って)はないんですけど、ああいう感じだったんで、年齢も関係あるのかなとは思いますね」

──でも、5年経って、まさか自分が同じ目に遭うとは思いませんでしたか?

「真逆になるとは思わなかったし、冷静に考えたら似たような構図にはなっちゃったなとは思いました。あの時、僕は日菜太選手にしっかりボコボコにされているんで、今度は僕がそこをしっかりやらなきゃいけないのかなとは思いますね」

──神保選手の75kgという階級を横取りされるという発言に関してはいかがですか?

「ずばり、僕が言いたいのはそこです。神保選手がどれだけアピールしても、75kgが盛り上がってないからこうなっている。彼は『なんで来たんだ?』とか『俺が盛り上げてたのに横取りしに来た』と言うけど、まだ75kgはそこまでのものじゃないし、そもそも自分のものじゃないだろうって。例えば武尊が『俺が盛り上げてきたK-1のスーパー・フェザー級を横取りしに来た』と言うんだったら、みんなそうだよなって納得すると思うんです。でも神保選手はそこまでの試合や勝負をしてきないよねって。自分の実力を見誤っていますよ。

 ただ今の75kgが物足りないと思われていることは僕にとってもつらい事実で、SNSが全てじゃないけど色々な数字が圧倒的に弱いことも分かっています。今ここでいくらトーナメントをやりたいと言っても、主催者に『君たちでトーナメントを組んで盛り上がるの?』と言われたら言い返せないですからね。彼も本当に75kgを盛り上げたいという気持ちがあるなら、その現実はしっかり受け止めるべきだし、僕自身ももっと頑張らないといけない。これは一選手として怒りや感情的なものではなく、素直な助言です」

──逆に言えばこの試合は75kgをさらに盛り上げるために、K-1サイドも期待を込めて組んだカードだと思うんですよ。その期待に応えるためにどんな試合をしたいですか?

「僕は8連勝していて、神保くんは6連勝してる。彼は目ぼしいK-1の選手を倒してるし、僕も他団体で勝ってきているんで、この試合が事実上の75kgの日本一を決める戦いというところに位置するんじゃないかなと思うんですよね。『トーナメントをやりたい』とか『ベルトが欲しい』という中でしっかり日本一、誰が世界に行くのかを決めるのは凄く大事なことだと思うんで、そういう意味ではめちゃくちゃ意味がある試合ですよね。あと世界的に見ても外国人が強い階級なんで、こいつなら世界に行けるんじゃないかっていう期待感を残せないと話は進まないと思うんで、勝ち方にはこだわりたいところですね」

──新階級を作る上で、中村K-1プロデューサーは覚悟を見せてほしいとおっしゃっていました。そこはどう意識しますか?

「人に伝わるのって最終的には気持ちの部分だと思うんですよ。どれだけこの階級を作って欲しいと思っているかを見せられるかどうかが大事だと思うし、ただ勝てばいいっていう話でもない。それを僕も言っているし、向こうも言っているんで、お互い負けたら失うものは大きいと思います。でも、勝負していかないと道は切り開けないと思うんで、そこは本当に意識しているっていうか、当たり前に覚悟を見せていかなきゃいけないと思っています」
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