「K-1 WORLD GP」9.11(日)横浜<インタビュー>西京春馬「中途半端な気持ちで復帰したら痛い目に遭う。心からちゃんとやりたいと思ってから復帰しようと決めていた。復帰するからにはベルトを獲りに行きます」
──約2年10カ月ぶりの復帰戦が9月のK-1横浜アリーナで決まりましたけど、現在はどのような心境ですか?
「ほぼ3年間、試合から離れていたんで、あまり実感がないんですよ。だから、試合直前になってみないとというか、今のところまだ戦う気持ちはないですね」
──試合が出来る喜びや不安も今はまだリアルにないということですか?
「そうですね。完璧に格闘技から離れていたので、練習も『復帰戦が決まるかも』って言われてから始めたんですよ。まあ、僕は弟(西京佑馬)がK-1選手なので、試合前に一緒に練習に付き合ったりして近くで見てたんですけど、それ以外は完璧に格闘技から離れていたので、ちょっと直前になってみないと心境が湧かないと思いますね。でも楽しみではあります」
──欠場の原因になった左足の骨折ですけど、現在はどんな状況なんですか?
「状況としては左スネの太い骨が真っ二つに折れました。手術してプレートを入れて、そのプレートを抜くまで手術が必要で、歩くところからリハビリがスタートしたので、復帰するっていうことが頭に浮かばないぐらいの状態でしたね。メンタル的にも結構ショックだったんですけど、怪我が治ってからもいつか復帰したいなと思いながら、なかなか踏み切れなくて……ちょっとダラダラ3年間過ごしました」
──怪我自体はもっと前に治っていたということですか?
「治ってはいましたけど、復帰したいという気持ちはあっても、中途半端な気持ちで戻るとまた痛い目に遭うと思ったんです。心からちゃんとやりたいなと思ってから復帰しようと自分の中で決めてたんで、それがちょっと長引いちゃいましたね」
──格闘技から離れていたというお話もありましたけど、自分の心が戻るまでは少し距離を離していたほうがいいなという感じだったんですか?
「そうですね。だから、K-1も弟の試合はセコンドに就いてたんですけど、それ以外はテレビで見てましたし、それこそ普通の人と一緒のファン感覚でテレビで見てましたね」
──その期間、客観的に見ていたK-1はどのように感じましたか?
「単純にみんな凄いなと思いましたね。この間の『THE MATCH 2022』もそうですけど、テレビで見て面白いっていう心境もあり、ちょっと悔しいという心境もありながら、ファンとして見させていただいてました」
──「なんで自分がここにいないんだ?」みたいな気持ちは湧きませんでしたか?
「そうですね。周りからは結構『見たかった』って言われていたし、ずっと『いつ復帰するの?』って言われてたんですよ。この期間、他の仕事をしてたんですけど、『自分は何をしているんだろうな…』っていう僕の気持ちもありました。でも、一番は自分よりも周りの人が僕の試合を楽しみにしているっていうのを見てきたし、怪我してからも家族もそうですけど、いろんな人にサポートしてもらってここまで来れたんで、そういう人たちを喜ばせたいなという想いで今回復帰を決めましたね。あと声をかけていただいたのが横浜アリーナでの大会で、僕の足が折れた場所も横浜アリーナだったんで、これがチャンスかなと思いまして、OKを出しましたね」
──因縁の横浜アリーナでケジメをつけようと。弟の佑馬選手のセコンドには就いていたということですけど、そこで試合を見ていて気持ちが動くとかはありませんでしたか?
「ないですね。『怖いなあ、格闘技』っていう感覚でした(笑)。怪我が治って久々にジムに行った時も熱気が凄くて、俺はこんなに危険なスポーツをやってたんだって思いましたから、弟のセコンドもそんな感じでしたね」
──復帰を決断する上で佑馬選手の影響はありませんでしたか?
「多少はありましたね。頑張ってきている姿も見てきたし、ベルトまであと一歩か二歩ぐらいのところまで来てるんで、弟に負けていられないなっていうのはありますね」
──今回の対戦相手ですけど、森坂陸選手になりました。どのような印象をお持ちですか?
──離れていた間は練習も何もせずですか?
「何もせずですね。子供が生まれて、本当に格闘技から離れて育児と仕事とっていう感じで全くやってなかったですね」
──約3年も離れていて、体力とか技術は維持出来ているんですか?
──やはり足に対する不安はありますか?
「練習ではもう思いっきり蹴ることが出来るんですけど、いざ生足で蹴るってなった時にどうなるかっていうのと、たまに自分の足が折れる夢を見ることもあったんですよ。そういうトラウマはちょっとありましたね」
──では、試合までにそこを克服していけば、心配はないという感じですか?
「試合が始まったらバーッと最初っから蹴っていこうと思っています。いつまでも不安になっていてもしょうがないと思うんで」
──分かりました。先日、K-1福岡国際センター大会ではフェザー級世界最強決定トーナメントが行われ、軍司泰斗選手が優勝しました。西京選手の目にはどのように写りましたか?
「全体的に日本人選手のレベルが上がったなと思いました。でもやるからには僕もベルトを狙っていくので、いつかやる可能性がある相手という目線で試合を見ていました。僕は本当にゼロからのスタートなので、あんまり大きいことは言えないんですけど、そこのレベルに食い込める自信はありますね」
──復帰を心待ちにしていたファンの人も多いと思うんですけど、どんな姿を見せたいですか?
「皆さんから『いつ復帰するの?』って聞かれてきたし、楽しみにしている方もいると思うんですけど、怪我する前の自分よりはレベルアップした姿を全体的に見せられると思います。復帰戦1試合目から期待させ過ぎてもしょうがないですけど、徐々に見せていければと思います」
──では、改めて復帰してからの目標を教えてください。
「戻ってきたからには前に目指していたフェザー級のベルトをまず獲りにいきます」